今春闘では残業時間の規制が大きな焦点。労働者にとって残業時間が減ることは悪い話ではないが、残業代が減れば給料全体の減少につながり家計を直撃する。
民間シンクタンクの試算では残業規制により、失われる残業代は労働者全体で五兆〜八兆五千億円に上る。個人消費を下押しする要因になりかねず、いかに減少分を還元するかが課題となる。

厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、二〇一七年の一人あたりの一カ月の平均残業代は一万九千五百六十円。
政府が検討する罰則付きの残業上限規制(年間七百二十時間以内など)で月六十時間に抑えた場合、日本総研の試算では、労働者全体の残業代が年間約五兆円、大和総研の試算では八兆五千億円減少する。

仕事の効率を上げて残業代が減った分を、どのように従業員に還元するかは労使で見解が分かれる。
経団連は今年一月に発表した経営労働政策特別委員会(経労委)報告で「社員の健康増進への助成、職場環境の改善などが有力な手法」としたうえで、
「賞与の増額、ベアなども選択肢」との見解。連合は「基本給の引き上げで応えるべきだ」とし、賃金として支払うことを求めている。 (木村留美)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201803/CK2018030402000136.html