日本と中国の国交が樹立されたのは、1972年9月の日中共同声明によってである。
この声明についての項目が岩波書店の『広辞苑』に掲載されたのは、91年の第4版第1刷においてであった。
そこには「一九七二年九月、北京で、田中角栄首相・大平正芳外相と中国(中華人民共和国)の周恩来首相・
姫鵬飛外相とが調印した声明。日中の国交回復を表明した」と淡々と書かれていた。

しかし、98年の第5版では「日本は中華人民共和国を唯一の正統政府と認め、台湾がこれに
帰属することを承認し、中国は賠償請求を放棄した」と改訂された。台湾の帰属先を中国だと
明記したのである。

台湾が中国に帰属するとは、日中共同声明のどこにも記されてはいない。「日本李登輝友の会」は
記述に訂正を求め、岩波書店は2011年の第6版の重版で「中華人民共和国を唯一の正統政府と
承認し、台湾がこれに帰属することを実質的に認め、中国は賠償請求を放棄した」とした。

「実質的に」が挿入され、今年1月に発売された第7版でもこの記述が踏襲されている。

http://www.sankei.com/column/news/180227/clm1802270006-n1.html