25日に閉幕した平昌五輪では、メディア施設近くに置かれた彫刻像がインターネット上で話題を呼んだ。正式名は「Bullet Men(弾丸マン)」だが、
日本のスポーツ紙が取材した際、スタッフが「分かりません(モルゲッソヨ)」と返したことから、その名が定着してしまった。
作品を手がけた本人はどのように受け止めているのだろうか。韓国人の彫刻家キム・ジヒョンさん(50)にインタビューした。

 ――この彫刻像が、男性器に見えると指摘する人がいます。

 「第一印象が男性器なのは否定できません。社会的な男性性、欲望の象徴です。男性のたくましい体の頭を覆うヘルメットの形は見ての通り、
滑らかな弾丸のイメージと男性器を二重にイメージ化したものです。家父長的な文化で、男性中心的な社会を生きていかなければならないという意味で、
武装の概念であるヘルメットを作り、その中には弱い人間の本性があることを表現したのです。美術史において裸は純粋な人間の本性を意味しますが、
それが『弾丸マン』を、男性器を露出した裸にした理由でもあります」

■なぜ平昌に置かれた?

 ――平昌にはどのような経緯で置くことになったのですか?また、なぜ3体に増えたのですか?

 「2013年の平昌ビエンナーレに選ばれ、展示後に江原道文化財団が購入して、現在の場所に置かれました。
彫刻像は『私を含めた私たち』という概念で、3体ではなく、10体や100体にもなり得るという意図を込めています」

■日本での反応に思うこと

 ――日本ではインターネット上で話題になり、二次創作も生まれています。

 「ある意味で興味深く思っています。こんなにも反応があるとは予想しませんでした。SNSが発達した今日、
多様な反応が出てくるのは当たり前なことです。作家にとって作品の意図を完全に読み取ってもらえれば最高ですが、
かと言って作家の意図通りに見てもらうよう強制するわけにはいきません。多様な反応が出るのはむしろいいことで、
わいせつな解釈をする人はそんな見方でしか見られない人ですし、その裏にある弱い人間の本性を読み取れる人はそこまで考えられる人だと思います。
うわべだけではなく、作品の流れを理解していただきたいとは思います」

 ――日本の人々に伝えたいことはありますか?

 「慰安婦像の横に『弾丸マン』を置いた嫌な画像も見ました。もし、その弾丸マンが自分自身だとすればどんな気持ちになるか、
一度考えてほしいです。私たちは、家庭で、小さいコミュニティーで、自分が所属している社会で、自分たちを守るためにフェンスを立てて
、さらには暴力と偏見で武装して、他人を排斥しながら生きています。昔、自分たちが行った過ちを反省することがそんなに難しいのか。男性的、
または社会的権威に大きな傷がつくのか。問いたいと思います」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180226-00000065-asahi-soci