https://mainichi.jp/articles/20180109/k00/00m/030/134000c
毎日新聞 2018年1月9日 06時30分(最終更新 1月9日 06時30分)

 北朝鮮の地下核実験場=咸鏡北道(ハムギョンプクド)吉州(キルジュ)郡豊渓里(プンゲリ)=付近に住み、2度の核実験後に脱北した元住民2人に、原爆被爆者にみられるような染色体異常が生じている。
韓国の研究者が収集したデータを広島の専門家が確認し判明した。推定される被ばく線量は高い人で累積394ミリシーベルトに達し、核実験による放射線の影響が疑われる。
この数値は、広島に投下された原子爆弾の爆心地から約1.6キロの初期放射線量に相当する。豊渓里周辺では近年、核実験の影響が疑われる体調不良を訴える住民が増えており、被害の実態把握を求める声が上がっている。

 脱北者の現状調査などを手がける民間研究機関「SAND研究所」=ソウル、代表・崔慶嬉(チェ・ギョンヒ)・漢陽(ハニャン)大教授=が2016年7月、8月、昨年9月の3期に分けて、
吉州郡出身者21人を対象に健康状態の聞き取り調査を実施。その結果、頭痛や吐き気などの共通の体調不良があることが判明した。

 数人について、同研究所が16年に韓国原子力医学院(ソウル)に依頼し、放射線被ばく検査を実施。このうち、核実験場から約27キロ離れた場所に居住し、06年と09年の核実験を経験した後、
11年に脱北した40代女性について、血液のリンパ球内の染色体に、放射線を浴びた時に生じるような染色体異常が確認され、推定された被ばく線量は累積320ミリシーベルトだった。


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