「平行なのに傾いて見える!」──前回はそんな文字列傾斜錯視を紹介しました。
今回取り上げるのは、それらとはまた異なる、傾いて見える錯視「カフェウォール錯視」と「ミュンスターベルク錯視」です。下の図がカフェウォール錯視です。

「カフェウォール錯視」。灰色の線は傾いているように見えるが、どの線も水平方向に平行に引かれている
 黒と白のタイルが並び、それらが灰色の水平な線で仕切られています。この灰色の線は傾いているように見えますが、それは錯視です。どの線も水平方向に平行に引かれています。

 次にミュンスターベルク錯視をご覧ください。

 カフェウォール錯視と似ていますが、黒と白のタイルを仕切る水平線の色が違います。
カフェウォール錯視の水平線は灰色なのに対して、ミュンスターベルク錯視では黒になっています。
色の違いによって、傾いて見える度合いはカフェウォール錯視の方が強く感じられると思います。

 これらの錯視もコンピュータを使って調べると興味深いことが分かるのですが、それは別の機会に譲るとして、ここではこれら錯視の生い立ちにまつわる話をしようと思います。

 最近、筆者らによって、このタイプの“傾いて見える”錯視を1893年に発表した人物がいることが分かりました。
しかし、その人が世に公表したものは、私の知る限り、文献などに引用されることはありませんでした。

 その人物とは、フランスの気象学者・プリュマンドン氏です。
今回はカフェウォール錯視とミュンスターベルク錯視の歴史をひもときながら、彼の埋もれた仕事にスポットを当ててみることにします。

真っすぐなのに斜めに見える“不思議な図形”の正体 「歴史から消えた錯視の発見者」とは
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1712/09/news005.html
http://image.itmedia.co.jp/news/articles/1712/09/l_ky_Illusion-01.jpg
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