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神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件は、行方不明になった東京都八王子市の女性(23)を心配した兄が協力者を見つけ出し、警視庁に情報提供したことが事件発覚につながった。

 白石隆浩容疑者(27)=死体遺棄容疑で逮捕=宅には次の殺人のためとみられる道具もあり、兄の機転がなければ10人目の犠牲者が出ていた可能性もあった。

 捜査関係者によると、女性は10月21日以降、行方が分からなくなった。心配した兄が女性宅のパソコン履歴を調べたところ、ツイッターで知り合った男と自殺するとほのめかす記述があった。

 兄は同月24日、高尾署に行方不明者届を出した。同署などが最寄り駅から1駅ずつ防犯カメラを確かめた結果、女性は同23日午後、男とJR八王子駅で電車に乗り、現場アパート近くの小田急小田原線相武台前駅で降りたことが分かったが、足取りはそこで途切れた。

 兄は女性のツイッターアカウントを使い、不明になった経緯を明らかにして情報提供を呼び掛けた。間もなく、別の女性から「私と状況が似ている」と連絡が来た。

 兄から情報提供を受けた高尾署は、この女性に男を呼び出すよう依頼した。面識のあった女性は同30日、JR町田駅に現れた男を確認。「行けなくなった」とメールしてもらい、帰宅する男を捜査員が尾行した。

 捜査員は男が座間市のアパート2階の部屋に入るのを確認し、接触を試みた。素直に応対する男。しかし、室内に不明女性の姿はない。捜査員が居場所を尋ねると「知らない」ととぼけたが、問い詰めると「ここに」と玄関に置かれたクーラーボックスを指さした。

 中を確認すると、切断された2人分の頭部が見えた。急いで本部に連絡。応援の到着を待つ間、男は「9人分ある。全員自分が殺した」と話した。これが白石容疑者だった。室内からは、殺害に使ったとみられるロープのほか、新品も一つ見つかった。遺体を入れた箱にはまだ空きがあった。

 捜査幹部は「令状がないから、ドアを閉められたらどうしようもなかった。偶然が重なり、容疑者にたどり着いた」と振り返った。