そもそもの数値に疑いを持たざるを得ないが、恐ろしいのは、「試算」が2025年度までしか示されていないことだ。
内閣府が政権交代直前の2009年6月に「試算」を最初に発表した際には、2023年度までの15年の期間の試算を発表した。
それに倣えば、今回の「試算」では2032年度までのシナリオが示されているはずである。

ところが、年に2度発表される「試算」の最終年度は、民主党政権期の2010年から毎回、2023年度に固定され、発表される度に試算期間は短縮された。

自民党が政権を奪還した後の2014年7月の「試算」で最終年度は2024年度となり、試算期間は10年に伸びた。
その後、最終年度は2024年度に固定され、昨年7月の「試算」では試算期間が8年に圧縮された。
今年1月発表の「試算」から最終年度が2025年度となったが、試算期間は8年に保たれたままである。

政府は満期が最長40年後の国債を発行しているのであるから、少なくとも40年後の2057年度までの経済・財政に関する試算を公開する義務がある。
米国では、議会予算局(CBO)が10年後の2027年までの試算とそれを延長した30年後の2047年までの試算、会計検査院(GAO)が43年後の2060年までの試算、
さらに、財務省(DOT)が74年後の2091年までの試算を、それぞれ発表している。

それなのに内閣府が8年後の2025年度までの「試算」しか発表しないのは、なぜだろうか。

「所詮は敗戦国の日本に、国家百年の計など、あるはずがない」と一刀両断する前に、その理由を今回の「試算」の中に探ってみる。

いかそ
日本の余命はあと8年⁉政府の楽観予測が示す「暗い未来」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52409