竹中 結局はポピュリズムですよね。
道を率いるべき人が「何か困ったことがあったら助けてあげるよ」というのは本当のリーダーではありません。
「こうしなきゃいけない。みんながんばれ。私たちはこういう方向を目指そう!」と、一人ひとりを喚起すべきなのです。

ギリシャや日本から分かるように、私たちは社会不安とポピュリズムとの悪循環の中にどっぷりはまっています。
経済が悪化しているから社会不安が出る。格差が生まれると「可哀想だから助けてあげよう」というポピュリズムの考えが政策にある。
そんなことをしても財政赤字が膨らむ一方です。この悪循環が世界中で起きているのが現状です。
これを断ち切るためには、厳しいことも言えるリーダーが出てくることが一つの条件でしょう。

若いときから自己責任、自己選択をできるようになって欲しい。この意識が希薄すぎるなと思います。そこの重要性を伝えていきたいですね。
小泉さんが一番好きな本のひとつがこの『自助論』で、私もゼミの学生には最初にこの自助論を経済学よりも前に読んでもらっています。

「天は自ら助くる者を助く」。自助・自立が出来る者が多ければ多いほど、本当の意味で助けを必要としている人を助けることが出来る。
今、船に乗っているとして、その船が沈んだら、自分で泳げる人は泳がないといけない。そうすることによって初めて救命ボートにお年寄りや子供を乗せられる。
みんなが全員救命ボートに乗ろうとしたら全員死んでしまう。厳しいけれどもこれが社会の現実です。これはやはり自助なのです。
http://kigyoka.com/news/magazine/magazine_20130502_15.html