2023年04月21日
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 子供にタブレットを使わせるべきか否か。使わせるとすれば何歳からか。

 そんな教育に関するテーマが、議論を呼んでいる。

 発端は、NewsPicsの配信番組に出演した佐藤亮子さんの発言。佐藤さんは「子ども4人を全員東大理IIIに合格させたスーパーママ」として知られる。

 4月11日に公開された「ChatGPTは教育の敵か、味方か?」をテーマにした議論の中で、佐藤さんは、ChatGPTなど新しいテクノロジーを教育の場に導入することに慎重な姿勢を示した。注目を集めたのが、佐藤さんの「12歳まではアナログで育てて、タブレットなんて全部捨ててほしい」という発言だ。佐藤さんは、ChatGPTの有効性を否定はしていないものの、教育の場では年齢制限が必要だと持論を展開。そこからさらに論を発展させて、タブレットを無防備に与えると「子供はえらいことになっちゃう」と懸念を口にした。

 番組内での議論は落ち着いたトーンで終わったのだが、この発言を批判したのが、堀江貴文氏だ。堀江氏はフェイスブック上で、誰とは明記していないものの佐藤氏の発言を紹介した画像を掲載したうえで「こいつバカでしょ笑」とコメント。

 さらにこの一件がネット上で記事になると、脳科学者の茂木健一郎氏もツイッターで「全面的にホリエモンに賛成」と表明。さらには自身のYouTubeチャンネルで、「ざます」言葉の教育ママを揶揄するような動画も配信した。

 茂木氏は、佐藤氏のような主張は日本のガラパゴス教育の典型であって、こんな「東大理III合格」を誇るようなこと自体が、もう時代遅れなのだ、ということを言いたいようだ。

 堀江氏もまた新しい技術への抵抗を示す佐藤氏の姿勢を「バカ」と感じたということだろう。

■『スマホ脳』著者の見解は

 現実問題として、12歳までタブレットに触らせないというのは難しいかもしれない。かなり独自の教育方針を徹底させないと、スマホその他から隔離してしまうのは現代では困難だ、というのが親たちの本音だろう。

 ただ一方で「12歳まで触らせない」は極端にしても、佐藤氏の懸念は「時代遅れ」と一蹴していい類のものなのかは議論の分かれるところだ。

 スマホの危険性に警鐘を鳴らしたベストセラー『スマホ脳』の著者、アンデシュ・ハンセン氏が、親と子のために執筆した『脱スマホ脳かんたんマニュアル』(マッツ・ヴェンブラード氏との共著・久山葉子 訳)には、タブレットを使う際の注意点、メリットとデメリットを解説した項がある。小学生が読んでもわかるように書かれたため、その説明は非常に平易でわかりやすい。

 以下、抜粋してご紹介しよう(同書をもとに再構成しました)

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■スクリーンと紙ならどちらがよく覚えられる?

 同じ文章を「紙で読む」のと「スクリーンで読む」のではちがいがあるのでしょうか。実はあるのです。

 ノルウェーで行われた研究で、生徒に短編小説を読んでもらいました。生徒の半分は紙でそれを読み、残りの半分はスクリーン上で読みました。結果、紙で読んだ生徒のほうが内容をよく覚えていました。特に、どういう順番で出来事が起きたかをよく覚えていました。

 それがなぜなのか、理由はいくつかあるようです。生徒はスクリーンを見ただけで、脳がいつものドーパミンのごほうびを期待してしまい、脳の容量の一部を「そのことを考えないように努力する」ために使ってしまいます。それに脳は、紙の本というのは読み始めると夢中になって、周りが見えなくなるものだというのを知っています。

 もう1つ考えられる理由は、「小さな手がかりの記憶」です。本を手に持った感触、紙をめくる音、そういったことも記憶に入ります。手触りや音だけでなく、ページの見た目やページのどのあたりにそれが書かれていたか、といったこともです。そういった記憶がタグになり、小さな付箋(ふせん)を貼ったように、読んだ内容を記憶しやすくするのです。

 研究ではまた、文章が難しいほうがスクリーンと紙で読むちがいが大きくなることも分かりました。つまり、難しい文章の場合は紙で読んだほうが良いのです。マンガを読むくらいならどちらを使っても関係ないですが、アインシュタインの相対性理論を学びたいなら(もちろん学びたいですよね?)、紙の本が勝つのです。

(以下略、続きはソースをご確認下さい)