15(土) 16:15
NEWSポストセブン

朝ドラ主演の深津絵里 49才でも18才役がハマるのはなぜか
ヒロイン・るい役が絶賛されている深津絵里(時事通信フォト)
 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(NHK)でヒロインを務める深津絵里について。
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 NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でヒロイン“るい”を演じている深津絵里さんが話題になっている。彼女が登場した第39回の視聴率は、番組最高の17.9%を記録したというから、それだけ深津さんに対する人々の関心が高かったということだろう。

 それでなくても今回の朝ドラは、戦前から現代まで、ラジオ英語講座とともに歩んだ3世代を3人のヒロインが紡ぐ100年の物語という、朝ドラ史上初の試みとして注目が集まった。母親の安子を上白石萌音さんが、安子の娘・るいを深津さんが、そしてるいの娘・ひなたを川栄李奈さんが演じるのだ。

 個人的には、1997年に放送されたドラマ『踊る大捜査線』(フジテレビ系)で深津さんが演じた、湾岸署刑事・恩田すみれ役の真っ直ぐで柔らかさと硬さ、弱さと強さを持ち合わせた演技が大好きだ。その他にも、映画『悪人』や『ステキナ金縛り』、『岸辺の旅』などでその役に応じて多彩な表情を見せてきた印象がある。最近はPascoの食パン「超熟」のCMでその顔を見るぐらいで、連続ドラマの出演は13年ぶりになるという。

 久方ぶりのドラマ出演が朝ドラのヒロイン。それもるいは1944年生まれで登場時の年齢は18才という設定だ。それに対し深津さんの実年齢は49才。歳を聞いて、「彼女ももうそんな年齢になっていたのか」と驚いた。実年齢を知らなければ、まだ30代だと思っていただろう。13年という年月が彼女の年齢を止めていた気すらする。

 女優は実年齢より若く見える人が多い。見た目が若いということは「主観年齢」も若いのだと思う。主観年齢とは、自分に対して感じる心理的な年齢のイメージのこと。深津さんもきっとこれに当てはまるのではないだろうか。

ヒロインが発表されるや、ネットでは「いくら演技が上手い深津さんでも、約30才も年齢差があるヒロインをテレビドラマで演じるには無理があるのでは?」という声が上がった。『カムカムエヴリバディ』のホームページのトップには、木の上で微笑むヒロイン3人のサマードレス姿が映っているが、他の2人に比べて年齢が上に見えてしまうのは正直なところ否めない。

 だがドラマを見ると、想像していたより深津さん演じる18才のるいには違和感がなかった。ふっくらしていた若い頃より顎の線がシャープになっているが、切り揃えたぱっつん前髪がよく似合い、透明感のある肌と大きな瞳がみずみずしい。柔らかく明るいライトを当てているのか、ほんわりと顔が映し出され年齢を感じさせることがない。求められているのはリアルな若さより、若いという雰囲気なのだろう。

 また、この18才という役を無理なく見ていられるのは、彼女が連続ドラマに出演していなかった13年間という年月にもある。彼女に対して「これ!」という強いイメージや決まったキャラがなかったからだ。2000年代前後の深津さんの活躍をリアルに知らない世代なら尚更、彼女にはどんな色も付いていないのではないだろうか。

 これからどんなるいが創られていくのか、少しづつ実年齢に近づいて行くるいを深津さんはどう演じていくのか、楽しみだ。

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