鈴木祐司1/4(火) 16:55
https://news.yahoo.co.jp/byline/suzukiyuji/20220104-00275799
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『第98回東京箱根間往復大学駅伝競走』は青山学院大学の圧勝で幕を閉じた。

ただし往路の1月2日も復路の1月3日も、中継した日本テレビの視聴率は前年より5%前後下がってしまった。

大会は大いに盛り上がったが、“テレビ離れ”の影響をモロに受け寒風が吹きすさんでいたのである。

これは大晦日の『紅白歌合戦』と全く同じ状況だ。

年末年始の人気番組の後退が示す、テレビのライブ視聴の変化を考える。

■年末年始番組の失速ぶり

東京と箱根の往復217.1キロを大学生10人が襷をつなぐ箱根駅伝。

青学が往路も復路も制し、10時間43分42秒の大会新記録を樹立した。まさに爆速だ。

ところが青学の雄姿を追いかけたテレビ中継は、往路の世帯視聴率が26.2%で前年比4.8%ダウン。ここ10年で最低となってしまった。復路は28.4%で前年比5.3%のマイナス。やはり下げ幅はここ10年で最大だ(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

実は去年の放送は、コロナ禍でステイホームの人が多く、往路も復路も10年で最高だった。

今年はコロナこそ落ち着いていたが、感染力が強いとされるオミクロン株の市中感染が始まっていた。それでも海外旅行に出かける人はほぼゼロ、帰省する人も去年より多いが例年の6割前後にとどまった。

つまりテレビ視聴の環境はさほど悪くはなかった。それでも最悪の失速ぶりだったのである。

実は今回の『箱根駅伝』の視聴率の出方は、大晦日の『第72回NHK紅白歌合戦』と似ている。

拙稿「占有率最高でも世帯視聴率40%割れの不思議〜『第72回紅白歌合戦』は“テレビ離れ”の象徴!?〜」で詳しく述べたが、テレビを見ている家庭の中での占有率こそ上昇していたが、世帯視聴率は逆に下がっていたのである。

『紅白』の世帯占有率は、前年より2.3%上がったが、平均の世帯視聴率は2.3%の下落だった。

『箱根駅伝』も占有率が2〜4%上がりながら、視聴率は2%ほど下がっていたのである(以上はスイッチメディア関東地区データから)。

いずれもテレビを見ている家庭での割合が高くなっていた。

ところが視聴率は、逆に悪くなっていたのである。

1月2〜3日の合計視聴率

こうした逆転現象はなぜ起こっているのか。

まず1月2日にテレビ放送を見ていた家庭はどのくらいあったのか、NHKと民放キー5局の総世帯視聴率をここ3年で比較してみよう。


『箱根駅伝』が放送される日は、朝昼晩1日3回の山という普段の波形と異なる。

放送が始まる8時頃に急上昇し、その日の放送が終わる2時頃に急落し、夕方から夜にかけてピークとなる“二瘤ラクダ”のような形になる。

1月2日の動向では、20年から21年で8→14時は急伸した。

ところが21年から22年は、前回の増加分以上に下落してしまった。夜帯も同じような波形となっているが、特に深夜と早朝の落ち込みが激しい。

例えば午前3時でみると、20年から21年は0.9%上昇したが、21年から22年で8%下落した。半減以上の落ち込みだ。

1月3日はより極端な波形となった。


20年から21年の8→14時は、5%前後と1月2日より大幅に上昇した。ところが21年から22年は、6〜7%とやはり前回以上に大きく下落した。夜帯も同じ構造だ。

しかも深夜はより壊滅的だ。

自宅にいた人の数が圧倒的に増えた21年でも、総視聴率は下落していた。さらに22年は半減しており、遅くまで起きている人々の中での“テレビ離れ”が極端に起こっていたことがわかる。