1988年8月に任天堂から発売されたファミコン用ソフト『ファミコンウォーズ』は、文字通り戦争をテーマにした戦略シミュレーションゲームである。

当時放映された映画『フルメタルジャケット』を意識して作られたCMは、今見ても強烈なインパクト。銃を抱えた兵隊たちが「ファミコンウォーズがで〜るぞ! かあちゃんたちには内緒だぞ〜!」と歌いながらランニングする内容である。ソフトの内容そのものよりも、このCMのほうが記憶に残っている、という人も多いのではないだろうか。

 レッドスター軍かブルームーン軍のどちらかの軍の指揮官として、歩兵や戦車などを生産し、敵拠点の制圧を目指す本作。マップのグラフィックやキャラや戦車のデザインなどはかわいらしくポップな作りとなっていたが、今あらためて振り返ってみると、近代戦争における戦術が見事に詰まった名作シミュレーションゲームだったのだ。

■「歩兵と戦車」だけでは戦争に勝てない!
 ファミコンウォーズ発売からさかのぼること約6年、日本の真裏の南大西洋は戦火に燃えた。「フォークランド紛争」である。

 フォークランド諸島はイギリスとアルゼンチンが領有を主張しているが、1982年4月にアルゼンチン軍がフォークランドに上陸。それに対し、イギリスのサッチャー首相が徹底した反撃に打って出たのだ。

 イギリスとアルゼンチンはともに西側陣営で、しかも当時最先端の兵器をそろえていた。アルゼンチン軍に配備されていたフランス製攻撃機「シュペルエタンダール」は、イギリス軍の駆逐艦「シェフィールド」やコンテナ船「アトランティック・コンベアー」を撃沈してしまう。このとき発射されたエグゾセ対艦ミサイルもフランス製の兵器だ。

 しかしイギリス軍は多大な犠牲を払いながらも海兵隊を上陸させ、フォークランドの奪還に成功。この紛争はイギリスの勝利で終わる。

 近代戦争は歩兵と戦車があればそれでいい、というわけではないことをフォークランド紛争は証明したのだった。敵の攻撃機や爆撃機を駆逐するためには、戦闘機が必要となる。無論、敵も戦闘機をそろえてくるだろう。だからこそ地上部隊も、対空ミサイルを搭載した戦闘車両を用意しなければならない――。

 子どもがプレイをするファミコン用のゲームだからといってあなどってはいけなかった。「かあちゃんたちには内緒だぞ」という歌は本当で、敵を制圧するためにこうした近代戦争のリアルな戦術を我々はいつの間にか『ファミコンウォーズ』で駆使していたのだった。

■地形を生かして戦おう!
「ソラマメジマ」「オニギリジマ」など17個のマップから戦う舞台を選ぶ。プレイヤーの仕事は、単に軍を動かすだけではない。「ホヘイ」「セントウコウヘイ」「センシャA」「センシャB」「タイクウミサイル」「ホキュウシャ」「セントウキ」「バクゲキキ」「センカン」などなど、敵陣地に乗り込むために、ユニットを生産しなければならない。

 1000Gともっとも安く生産できる「歩兵」は山や川も越えることができる基本となるユニット。だが当然彼らだけではやられてしまうため、バズーカを撃てる「戦闘工兵(機動力がやや劣る)」だったり「戦車」を生産する必要がある。その戦車にもAとBの2種類が存在し、Aは強力な火力を持つがコストがかかる。Bはやや貧弱な火力と装甲だが、Aの3分の1程度の額で生産ができるのだ。

 とそのように懐具合を計算に入れながら、いかに効率的に軍のユニットを固めるかが攻略のカギとなる。

 森林や山岳などの地形を生かして、より有利な立ち位置で戦うことも重要だ。敵ユニットを山間の道に誘い込み(これを「隘路(あいろ)」と呼ぶ)、そこへ「自走砲A(3〜5マス先のユニットに攻撃可能)」の砲撃を食らわせて数を減らす。隘路の出口にはあらかじめ戦車Aを配置しておき、最後はその戦車で敵を粉砕させる……という戦法も可能だ。

 ただ、上述のように地上部隊だけでは敵の「爆撃機」と戦うことはできない。ここは自軍にも「対空ミサイル」や「戦闘機」を用意したいところ。

全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/8142b6563779e8e3bc24a08c2f6d8902de26c417
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