今、メジャーから最も注目されている日本人野手は、打率、長打力、走力、肩、守備全てにおいて平均以上の力を持つファイブツール・プレーヤー、広島の鈴木誠也外野手(26)である。

 入団時から今日に至るまで進化し続け、身体も強くなり、一番重要な打撃もメジャーで必然とされるシンプルな形になってきていた。それが昨年は、両肘を伸ばし気味で構えてグリップの位置が体から遠く離れており、そこから打ちに行くときに手を大きく引く動作が見受けられ、無駄な動きに見えた。

 今年は左足を高く上げているという報道を目にし、このような動きが加わると、メジャーの投手に対して振り遅れるのではと危惧していた。しかし、実戦を見る限り、グリップも適度な位置に収まり投手がセットポジションから投げるときは、左足をそれほど上げていない。

 順応性に富んでいて、メジャーでもアジャストできるとみている。渡米前にメジャー仕様の形が出来上がれば、1年目からでも好打者の条件であるOPS(長打率+出塁率)8割以上の数字は期待できるだろう。

 もうひとつ提起したいことがある。既に十分通用する長打力は備わっているので、これ以上体重を増やさないことだ。

 主に一塁を守っていた落合博満さんは体重増に取り組み、飛距離が伸びたと聞いた。しかし、鈴木誠也の場合はスピーディーな外野手なので運動量が比ではなく、膝への負担も相当違う。巨人の長嶋茂雄終身名誉監督は松井秀喜さんに膝への負担軽減のため体重を落とせと事あるごとに言っていた。それがかなわず、2007年後半から38歳で引退する12年まで度重なる膝の故障に苦しめられた。

 極端な例ながら、07年に23歳の若さで本塁打王に輝いたプリンス・フィルダーも180センチ、公称127キロで体重オーバーを指摘されていた。そして、椎間板ヘルニアも病み、32歳の若さでの現役引退を余儀なくされた。ブルージェイズ期待の21歳、ゲレーロJr.も昨夏には188センチ、127キロを計測。内野手ではあるが下半身への負担を憂慮し、今キャンプインまでに自発的に約20キロの大減量を敢行した。結果、全ての動作で機敏性が向上。周囲の期待の声もますます高まっている。

 ▼大慈彌功(おおじみ・いさお) 元太平洋クラブ(現西武)捕手。ロッテでバレンタイン監督の通訳を務め、1997年からは同監督が指揮を執ったニューヨーク・メッツで日本駐在スカウトに転身。ドジャース、アストロズで渡り歩き、一昨年までフィリーズの環太平洋担当部長を務めた。

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3/15(月) 22:01https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210315-00000087-chuspo-base

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