ベルリン国際映画祭、濱口竜介監督の「偶然と想像」が銀熊賞「驚きが海を越えて伝わったことに感激」
3/6(土) 5:00 サンケイスポーツ
https://news.yahoo.co.jp/articles/4dc4899d377441d9877540cb7399f2361edd15e2
『偶然と想像』(c)2021 NEOPA / Fictive
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 第71回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門の受賞作が5日、オンラインで発表され、濱口竜介監督(42)の「偶然と想像」(公開未定)が銀熊賞(審査員グランプリ)に輝いた。

 最高賞の金熊賞に次ぐ銀熊賞の邦画受賞は、2014年に女優、黒木華(30)が「小さいおうち」で最優秀女優賞を獲得して以来7年ぶりとなる。

 濱口監督は演技経験のない女性4人が主演した「ハッピーアワー」が15年のロカルノ国際映画祭などで主要賞を受賞して注目され、商業映画デビュー作「寝ても覚めても」(主演・東出昌大)が18年のフランス・カンヌ国際映画祭のコンペ部門に正式出品。昨年、黒沢清監督(65)がイタリア・ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)に輝いた「スパイの妻」(主演・蒼井優)では脚本を共同執筆した。

 「偶然−」は3話のオムニバスからなる初短編集で脚本も担当。平凡な人生に偶然起こる劇的な出来事を会話劇で描き、審査員は「濱口監督が紡ぐ言葉は本質であり、音楽であり、素材だ」と絶賛した。

 この日、日本で結果発表を見守った濱口監督は「経験豊かな監督たちがそろった『審査員からの賞』が贈られたということを心からうれしく、誇らしく思っています」とコメント。「撮影中ずっと、役者の演技を見ながら、カメラの後ろで驚いていました。その驚きが海を越えて伝わったことに感激しています」と俳優陣の熱演に感謝した。

 第1話「魔法(よりもっと不確か)」で、親友が気になる男性が元カレと気づき、葛藤する女性を演じた女優、古川琴音(24)は「このような素敵な作品に参加できたことを幸運に思います」と胸を震わせた。

 今年の同映画祭はコロナ禍のため2回に分けて実施。3月に業界向けのオンライン上映と審査による受賞作を発表し、6月に授賞式と一般向けの上映イベントを開く。

(おわり)