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【東京五輪目指す 注目女子アスリートの履歴書】#1 ビーチバレー鈴木千代(27歳、クロス・ヘッド所属)

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秋口からツアーや大会も開かれはじめ、国内のビーチバレー界はコロナ時代に適応しつつある。

試合の直前まではビキニ姿でマスク着用――。
「どこを隠して、どこを開放してるのか……。不思議な感じですよね(笑い)」

9月27日に開催されたJBVシリーズ「RAIZIN CUP IN宮下パーク」を制した鈴木がハニカミながら言う。
坂口由里香(26)とのペアでワールドツアーを戦い、今年2月上旬のシェムリアップ大会で3位、3月上旬のグアム大会では優勝を飾った。5月に予定されていた東京五輪選考会に向けて勢いに乗っていたさなか、コロナ禍によって夢舞台の延期が下された。

■コロナ前より好調

「最初の1、2週間は何もやる気が起きないくらいショックを受けました。ですが、今はコロナ前よりチーム状況やプレーが良くなっています」と、鈴木はこう続ける。
「4月、5月は練習場として使っていた市のビーチ、そしてジムも閉鎖されました。だから、コーチと少人数で自宅近所の公園にある、おじいちゃんが体を動かすようなトレーニング器具で、負荷をかけながら筋トレをしていました」

本来ならばワールドツアーで海外を転戦していた時期だ。
「大会もない状況でモチベーションを保つのは難しかったですね。ですが、6月中旬に、やっとビーチが使えるようになったんです。『砂浜に立てること自体がこんなにうれしいんだ!』と実感しましたよ。それからは練習をできることが楽しくて楽しくて、もう仕方がない。五輪を目指して気を張り詰めてやっていた2月ごろよりも、すごく楽しく競技をしています。雰囲気よく練習しているので、結果的にプレーの質も上がりました」(鈴木)

部活はサボりたい一心だった

来夏に延期された東京五輪出場に向けてひた走る鈴木は、バレーボール経験者の母と、柔道で国の強化指定選手に選ばれたこともある父のもとで、2人姉妹の次女として生まれた。
強靱なDNAを引き継ぎ、母と姉の影響から小学3年生からクラブチームでバレーボールを習い始めると、潜在能力が開花。特待生として、女子バレーボール界の名門、中高一貫校の共栄学園中に入学するまでになった。
鈴木がビーチバレーと巡り合ったのは、中学3年生のころだ。

「一応、全国大会も経験させていただきましたが……。私より上手な選手は、先輩はもちろん、同学年、後輩にもたくさんいましたし、やりきった感もあった。バレー以外をやりたいなと。
でも、特待生で入学したので、高校に上がってもバレーは辞められない。そんな時です。学校に、アンダーカテゴリーでビーチバレー日本代表を決める選考会の話が来た。

『来たー! これに絶対受かってやろう!』と、部活をサボりたい一心でした。選ばれたら2週間シンガポールにも行けますし」(鈴木)
そうして高校進学を目前に控えた真冬の2月、後の母校となる産業能率大にある砂浜のコートに立った。初めてのビーチバレー。代表に選出されたいが、実力だけでは難しい。そこで鈴木はある奇策に打って出た。

「気温は1度か2度でしたが、(ウエアを)バッ! と脱ぎました。私だけ水着で参加したんです(笑い)。本当は脱ぐつもりなかったけど、気合が入ったら脱いじゃいました。同級生は『ぅえぇ!?』みたいな。
『やめときなよ、風邪ひくよ!』って。それでも私は選ばれたかったんです」(鈴木)

12/14(月) 15:00配信 日刊ゲンダイ
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d176af6f2de6eb98bfd9bfb1450d8dfa39f8908?page=1