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2020.10.30

『DRAGON BALL』、『幽☆遊☆白書』、『SLAM DUNK』が国民的ヒットを博した1990年代前半の週刊少年ジャンプ。その陰で根強い人気があった漫画がある。累計発行部数、1億5000万部を超える2000年代の大ヒットマンガ『NARUTO』の岸本斉史は「忍空の続きが読みたくて(『NARUTO』を)始めた」と語る『忍空』だ。連載中断を経験しつつも、完結までたどり着いたのはなぜか。忍空の持つ魅力に迫る。

漫画版『忍空』は大きく分けて3つのフェーズがある。忍空狼編、干支忍編、ウルトラジャンプによる干支忍編の3つだ。

ファーストステージと呼ばれる忍空狼編は、EDO歴3年、忍空と呼ばれる武術を駆使する者たちの活躍により、戦乱が終わった後の世界が舞台だ。主人公の風助も元・忍空組。隣の家のおばあちゃんのために薬を買いに行く途中で、忍空組の残党「忍空狼」が悪事を働いているのを目撃する。風助は忍空を不殺の武術とする師の教えを心に刻み、かつて最強と呼ばれた干支忍を集め、忍空狼の悪事を止めようと奔走する。

セカンドステージと呼ばれる干支忍編は、戦乱で両親を亡くした風助がファーストステージでも共闘した橙次と出会い、忍空を学び、忍空が戦乱で「不殺」を捨てるに至るまでを描く。ウルトラジャンプによるSECONDSTAGE、干支忍編でも同様に、干支忍たちの出会いや、未登場の干支忍が集結した。

セカンドステージは1995年に週刊少年ジャンプで連載が中断したものの、2005年に再始動している。(その際にSECOND STAGEと英語表記になった)2011年に完結しており、18年の時を経て、忍空と風助をめぐる物語は終わりを迎えた。

題材は「戦争」や「かつての仲間との戦い」という重さがあるのだが、要所に挟まれる下ネタや、キャラ同士の肩の力が抜けた掛け合い、マスコットキャラクターであるペンギンのヒロユキといった明るさで、子ども受けしやすいギャグテイストとなっている。漫画版に比べ、アニメ版はよりその傾向が顕著だ。

中略

アニメ版でも原作版でも「忍空」という強い力があるが故に戦後の世が荒れる。強すぎる力をどう生かすか?を常に我々に問うてくる。風助や仲間の干支忍たちはどちらのストーリーでも一貫して「忍空は人を傷つける力ではない」ということを体現していく。弱きをいじめるを良しとせず、かといって憎んで襲ってくるものを殺さない。「かっこいいヒーロー」は敵にも守るべき味方にも優しい。そんな風助たちの生きざまに、当時の読者・視聴者も惹かれたのではないだろうか。 風助たち干支忍の「思いやり」を良く表した一言がある。

そいつ(強さ)は確かに人を殺める最高の道具だぜ
ただ、その強さってのは人を守る最高の道具にもなるんだぜ
(忍空8巻 黒楼のセリフより)

風助たちの強さと優しさがアニメ版、原作版でどう映されているか、どちらも自分の目で確かめてほしい。

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