9月27日に急逝した竹内結子さん(享年40)の周辺を取材していくと、所属事務所とのギクシャクした関係をたびたび耳にするようになった。

竹内さんは今年1月に第二子を出産したばかりなのに、盛んに担当マネジャーに新しい仕事を催促していたという。もちろん彼女が望んだのは女優の仕事だったが、事務所は思い通りの仕事をなかなか取ることが出来なかったといわれる。
その最大にネックとなったのが、40歳という年齢だった。

「彼女がどんな思いで『仕事をしたい!』と担当マネジャーに訴えたのか真意を図りかねますが、もし頭の中で竹内さん自身が20代のときに演じた『あすか』や『白い影』『ムコ殿』の残像があったとしたら、そこでミスマッチが生じてしまった可能性が高い。
日本の芸能界は40歳を超えると、どんなに美人でも清純派女優への仕事オファーがガクンと減ります。竹内さんのマネジャーもクライアントの間で板挟みとなって苦しい思いをしたはずです」(芸能プロダクション関係者)

残酷に聞こえるかもしれないが、事務所がいくら一生懸命売り込んだとしても、現在の竹内さんのポジションは映画『コンフィデンスマンJP』のラン・リウ役のように、エンドロールの上から10番目あたりが精一杯だった。
「清純派女優35歳限界説」は彼女の演技力や努力とは全く関係がない日本の芸能界の風習と言うほかない。今の日本のテレビ界・映画界には40歳の女優をあえて主人公に作品を作ろうと考えるプロデューサー・演出家がほとんどいないのだ。

実際、この数年の竹内さんの仕事ぶりを改めて確認しても、テレビは年に1本程度、映画も多くて1〜2本。あとはテレビのバラエティー番組のナレーションの仕事がいくつかあったくらいだ。

「最近のドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』にしても『イノセント・デイズ』にしても、同年代の女優に比べたら、まだ主演を張れるだけ竹内さんは恵まれています」(前出・芸能プロ関係者)

ちなみに竹内さんと同じ1980年生まれの女優には田中麗奈、優香、小池栄子、広末涼子、江口のり子、田畑智子がいる。映画で主演を張れ、興収も上げられそうな女優をあえて挙げるとすれば広末くらいだろう。

■石原さとみは34歳を目の前にして結婚を発表

「01年にヒットしたハリウッド映画『ブリジット・ジョーンズの日記』で主演を務めたレネー・ゼルウィガーは体重を増やしたり、体当たりで役柄に臨みました。彼女はこの映画で女優の皮を1枚も2枚も剥ぎ、
40代でも十分に主演を張れる女優になりました。今のハリウッドは40歳の女優でもコメディーやホラーといったジャンルで特別なプロモーションを仕掛けていくやり方が定着していますが、
日本のショービジネスにはこの手法や文化が浸透していません。清純派を売りにしていた女優の“賞味期限”は35歳前後とされ、40歳になる頃には使い捨てにされているのが実情です。

間もなく34歳の誕生日を迎え、そろそろ“賞味期限”を迎えると見られていた石原さとみも突然、結婚を発表しました」(前出・テレビ関係者)

だったら、45歳の米倉涼子や52歳の鈴木京香の売れっ子ぶりはどう説明するんだよ? という声も聞こえてくるが、これについては前出のテレビ関係者が次のように説明してくれた。

「米倉さんや鈴木さんは非常にレアなケースといっていいでしょう。米倉さんの場合は、彼女のキャラクターと『ドクターX〜外科医・大門未知子』の脚本がうまい具合に“化学反応”を起こしたことで今があります。
こうした成功例は10年に1度あるかないかの例外中の例外。鈴木さんは『セカンドバージン』で濡れ場に挑戦したことで脱皮し、元清純派女優なのにくたびれたオバサン役や母親役も厭わないので次々にオファーが来るのです。
これまた例外と言えるでしょう」

女優デビューから早24年を迎えていた竹内さん。元清純派女優が思い描いた夢や希望は何だったのだろうか。今となっては知ることも出来ない。

(芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2020年10月2日 9時26分
https://news.infoseek.co.jp/article/gendainet_671233

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