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 「最初は『絶対に無理。やりたくない』とさえ思っていた。今でも僕みたいなのがやっているのは本当に申し訳ないと思います」

 1967年に故モンキー・パンチ氏の原作マンガの連載がスタートし、その後アニメ化されて現在も根強いファンを持つルパン三世。ルパン役として25年近くにわたり吹き替えを担当してきた栗田貫一は、こう話して笑う。

 本業は物まねタレント。初代の故山田康雄氏を引き継ぐ形で慣れない声優業に取り組み、当たり役に育て上げた。公開中の映画「ルパン三世 THE FIRST」(山崎貴監督)はシリーズ初の3DCGアニメ。これまでにないリアルな映像が見もので「ついにここまで来たかという感じです」と感慨深げだ。

 怪盗アルセーヌ・ルパンの孫で、自身も大泥棒のルパン三世と仲間が繰り広げる冒険譚。今作は祖父が生涯で唯一、盗むことに失敗した秘宝ブレッソン・ダイアリーをめぐる物語がパリやブラジルなどを舞台に展開する。

 栗田は、関係者から「今回はディズニーの『アナと雪の女王』のような映像になる」と聞かされたとか。「どんなふうになるのか、最初はぴんとこなかった」と苦笑交じりに話す。

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レコーディングの手順も従来とは全く違った。これまではある程度完成した映像を見てのアフレコだったが、今回は先に声優のセリフを録音し、その声に合わせて映像が製作された。「まるでお芝居の立ち稽古のようだった。『われわれの間(ま)で良いのかな』と思いながら演じていました」

 山崎監督は「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」などで知られ、3DCGアニメの分野でも「STAND BY ME ドラえもん」などを手掛けたヒットメーカー。1964年生まれの『ルパン世代』で、現場ではまるで少年のようだったという。

 「レコーディング中は、(別部屋の)調整室ではなく僕のすぐ近くに座って、『今のいいっすね〜』とか『すげえなあ』とか、いちいち反応される。こんな監督は初めてだった。『この人、大丈夫なの?』と思っちゃったけど、同時にルパンへの愛も感じました」

 完成した作品を見て、「1週間で7秒しか作れない場面もある」とスタッフから聞き、その緻密さに驚いたという。「例えば水の入ったコップを描く場合でも、水が揺れるところまで描いている。そこまでこだわって作っている。スタッフの皆さんの力のすごさを改めて感じました」

つづく

12/8(日) 12:15配信
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