日本ラグビー協会の清宮克幸副会長(52)が中心となって進めているラグビーのプロリーグ化構想に対する選手間の受け止め方に“温度差”が広がっている。

 清宮副会長は19日に行われたラグビーのプロリーグ構想をテーマにしたイベントに参加。2021年秋開幕に向けた進捗状況について「こんなスピードでプロ化できるのかと思う」と遅れを認めた。当初の予定では新リーグの概要を発表する時期だが、13日の理事会で決定した設立準備委員会の立ち上げにとどまっているのが現状だ。

 そんな中、トップリーグ(TL)でプレーする選手たちが必ずしもプロリーグ化を歓迎しているわけではないという。元日本代表は「TLのチームは社員選手とプロ選手の混合となっているけど、いいバランスだと感じている。ラグビーをやりつつ社会人として頑張りたい人も、プロとしてやりたい人も歓迎してくれているので」と現状維持を望んでいた。激しいコンタクトを伴う競技とあって選手寿命も決して長くはない。引退後も所属先の企業で安定したサラリーマン生活を続けられる保証を捨ててまで、完全プロ化するメリットを感じていないというわけだ。

 もちろん不安先行で何もしなければ“進化”は望めない。プロ契約のある日本代表は「仕事をしながら、僕らより体の大きいラグビーのことだけを考えている相手に勝つのは難しい。プロは常にラグビーのことを考えているし、ラグビーの質も高くなる。社員選手が仕事する時間に休んだり、映像で研究もできるので」と力説する。

 W杯で初のベスト8入りを果たし、2023年フランスW杯で4強入りを狙う以上、さらなる強化は必要不可欠。その“最適解”が、本当にプロリーグ化なのかも含めて議論が求められそうだ。


2019年11月21日 16時30分
https://www.tokyo-sports.co.jp/sports/rugby/1630008/