東京・新宿区にある新国立競技場。’20年7月24日に行われる開会式のほか、陸上、サッカーなども行われる
「80枚当選した東京五輪のチケットは、全部転売できたヨ。1000万円以上は儲けたネ。人気のサッカー男子決勝A席は、ホントは6万7500円だけど、転売したら60万円。いい商売ネ」

ホクホク顔でそう語るのは、日本を拠点にする中国人転売組織の男性、Z氏だ。

東京五輪開幕まで10ヵ月を切った。5月の第1次抽選販売と追加抽選販売では、合計約390万枚の日本国内向けチケットが売り出された。申し込んだチケットすべてに落選したり、人気のあまりチケットの申し込みサイトにアクセスできなかったりした人がいたというニュースが報じられたことは記憶に新しい。

そんな”プラチナ・チケット”をさらに入手困難にするのが、この違法転売業者の存在だ。筆者は、SNSを通じて転売業者への接触に成功。対面取材に応じたZ氏に、転売のヤリ口を聞いた。

「ウチには『並び屋』として雇ってる在日中国人が400人くらいいるから簡単ヨ。第1次抽選の前に、彼らにSNSのグループチャットで『当選した五輪チケット買い取るヨ』って呼びかけたら、80枚集まった。日本に住んでれば中国人でも応募できるからネ。チケットは定価の倍で買い取って、中国のSNSとかECサイト、フリマサイトで5〜10倍の価格で売る。人気なのはサッカーやバスケ、卓球、バレーボール、水泳のチケットで、すぐに売り切れたネ。買うのは富裕層の人たち。中国にはイッパイいるからネ」

会場には、チケット販売サイトで名前を登録した来場予定者以外は入場できない。だが、そこにも抜け穴が存在する。

「来場予定者名なら、チケット販売サイトで競技当日まで何回でも変更できるから問題ないヨ。購入者からカネが振り込まれたら、まずチケットの当選IDとパスワードを知らせる。それをもとに購入者が販売サイトにログインして、自分の名前に変更すればいい。登録メールアドレスとパスワードも変更すれば、他の人はログインできないから完璧デ〜ス!」

400人の『並び屋』を雇うZ氏の組織は、日本国内に拠点を置く中国人転売組織としては中堅規模だ。Z氏によれば、さらに大規模にチケット転売を行っているグループはいくつもあるという。

「転売組織が多いのはモチロンだけど、個人で転売シテル在日中国人も無数にいるヨ。第1次抽選販売で390万枚のチケットが売れたけど、そのうち20万〜30万枚は中国人に転売されてるはずネ」

“競技場へ観戦に行ってみたら、周りの席は中国人だらけだった”という事態もあり得るのだ。

>>2以降に続きます

2019年10月08日NEW
https://friday.kodansha.co.jp/article/69727