その名前を告げるヤフオクドームの場内アナウンスに耳を疑った。

背番号18が3点ビハインドの5回表のマウンドに向かって行くのを見て、目を疑った。

9月21日のファイターズ戦。0-3とホークス劣勢の展開で5回表の守備を迎える場面だった。

試合前の時点でホークスは、首位ライオンズを2ゲーム差で追いかけていた。残り試合はホークスが6つでライオンズが5つ。直接対決はなく、ライオンズには優勝マジック4が点灯していた。

絶対に負けられない戦い。そんなこと、誰もが百も承知である。

一戦必勝。この数日間、工藤公康監督の口から何度その言葉が発せられただろうか。

だからこそビハインドの展開だとしても、このところ先発で好投を続けていた武田翔太を敢えてリリーフで注ぎ込んだ。いわゆる必死の継投だと思えば、特に不思議ではないかもしれない。

4日前に受けた右肘の検査。

しかし、事情が違った。

当初、ローテーションの通りなら武田はこの日先発をするはずだった。だが、この4日前の17日、福岡市内の病院で右肘の検査を受けていたことを同日の練習で工藤監督が明らかにした。

たしかに不可解な登板が続いていた。8月25日のマリーンズ戦では5回92球1失点で降板。続く9月1日の6回87球無失点と好投していたが、早々にお役御免となっていた。

100球未満の登板が続き、9月14日のファイターズ戦は3回までに4与四球と振るわずに1失点ながら交代となった。

「スピードが(本来より)10キロくらい落ちた。違和感がある中で投げていた」とのことで、診察を受けるに至ったのである。

二保旭が呼ばれ、先発のマウンドに。

18日にはバックアップ要員として二保旭が招集された。武田も調整は続けていたが、大方の予想は、この時点ですでに二保が代役を務めるというものだった。

二保は今季8度目の先発だった。勝ち星は1つだけだが、ゲームメイクの能力には長けており、今季は好投も見せていた。
勝ち投手になった7月5日のバファローズ戦は6回1失点。同16日のファイターズ戦も6回1自責点(2失点)とクオリティ・スタートを決めていた。

その後、慣れない先発での疲れか相手チームの研究力のせいか、やや打ち込まれる試合が増えていたためにファーム調整となっていた。

そして21日の先発マウンドには二保が上がった。二保は1カ月超ぶりの登板で、強烈なプレッシャーのかかるマウンドで懸命に右腕を振った。結果は4回途中3失点で負け投手になった。

持ち味のボールを動かす投球でゴロを打たせたが、緩い打球がタイムリー内野安打になるなど不運に泣かされた。決して自滅したわけではなかった。

その後、冒頭のシーンとなるのである。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190925-00840856-number-base
9/25(水) 20:01配信