キックオフ時刻になってから、テレビで生中継されないと気づき、驚いた人も多かったはずだ。サッカーの男子日本代表が出場した南米選手権ブラジル大会、チリとの初戦。日本時間の18日午前8時(現地時間17日午後8時)から約2時間行われた試合の日本での生中継は、スポーツ専門のインターネット動画配信「DAZN(ダゾーン)」が独占的に実施した。サッカーの日本代表戦中継にも今、担い手の交代が起こりつつあるのだろうか。

9年半ぶり、テレビなし

ダゾーンは、国内外で年間1万試合以上のスポーツ動画を配信している。月額1750円(税別)の有料サービスだ。Jリーグや人気のある欧州のリーグ戦を提供するなど、サッカーはダゾーンが特に力を入れている競技で、熱心なファンにはかなり浸透してきたものの、日本代表の試合をネット配信するのは今回の南米選手権が初めてだ。

 日本サッカー協会によると、男子フル代表戦の生中継がテレビの地上波でもBSでも行われなかったのは、2010年1月にイエメンとアウェーで顔を合わせたアジア杯予選以来、約9年半ぶり。予選突破をほぼ確実にして臨んだ格下との一戦とあって、当時の岡田武史監督は主力を休ませ、若手主体のメンバーを組んだ。遠征先の政情不安なども影を落として、テレビ放送が実現しなかった。

 だが現在の日本代表は、イエメン戦当時のチームより、人気も注目度もずっと高い。TBSが生中継したエルサルバドル戦(6月9日午後6時半〜9時)は、W杯やアジア杯といったタイトルのかかった大会ではない国際親善試合の位置づけながら、平均視聴率が13・8%に達した。南米選手権のメンバーに、森保一監督は、2020年東京オリンピック世代となる20歳代前半のホープをそろえて乗り込んでいる。特に強豪レアル・マドリードへの移籍で話題の18歳、久保建英には日本代表の最年少得点記録を更新するのではという期待もかかる。初戦こそ南米選手権3連覇を狙うチリに0―4で粉砕されたが、それは相手のレベルが高くて見応えある大会だということの裏返しでもある。

6/19(水) 16:20配信読売新聞
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