ゴールデンステイト・ウォリアーズは、1990年代以降ではシカゴ・ブルズ、ロサンゼルス・レイカーズに次ぐ3連覇を達成できるのか。現地時間4月13日から始まる2018−19シーズンのNBAプレーオフにおける最大の見どころは、現代の最強チームの行方になるだろう。

 ケビン・デュラント、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンを擁するチームは、昨オフにニューオーリンズ・ペリカンズからFAになったデマーカス・カズンズを獲得してさらにパワーアップしたはずだった。しかし、全ポジションにオールスター経験者を揃えたにも関わらず、シーズンの勝率.695(57勝25敗)はこの5年間では最低。3年前にはシーズン73勝を挙げたスター軍団が、やや低調なレギュラーシーズンを過ごしたことは事実だ。

 今季はシーズンを通して故障者が多発し、エースのカリーは13戦、守備の要であるグリーンも16戦を欠場。このように主力選手がケガに苦しんだ原因として、4年連続でNBAファイナルに出場し、6月までプレーを続けたことによる疲労の蓄積を指摘する声も出ている。

 また、コンディションの問題と同時に、今季終了後にプレーヤーズオプションでFA権を得るデュラントの去就を巡る話題もチームを騒がせてきた。

「FA戦線はゲームの一部だし、NBAの楽しい部分でもある。だから、何も知らないふりをするつもりはない。ただ、僕の仕事は毎晩、可能な限りベストのプレーヤーでいることなんだ」

 デュラントは昨秋のニューヨーク・ニックス戦時にそう語り、今季中はプレーに集中したいと強調していた。しかし一方で、開幕前後からさまざまな形でFAに関してのコメントも残してきており、それに関してウォリアーズの一部の同僚がフラストレーションを感じたとしても、やむを得ないところだろう。

 昨年11月12日には象徴的な事件が起こった。この日のロサンゼルス・クリッパーズ戦の途中、グリーンとデュラントがゲーム終盤のプレーに関して舌戦を展開。言い争いの最中、グリーンはデュラントに「お前なんて必要ない。俺たちはお前抜きでも優勝したんだ。FAで出ていけばいい」とまで言い放ったというのだから穏やかではない。

 この試合後、グリーンは1試合の出場停止処分を受けて決着。その後、デュラントとグリーンは表向きは和解し、力を合わせて優勝を目指していくことを誓った。それでも、こんな”不細工な一件”があれば、ウォリアーズのケミストリーが疑われるのも仕方のないことだ。

 今季終盤に、スポーツジャーナリズムの米ウェブサイト『The Athletic』が発表した選手間投票で、「来季のデュラントはどのチームでプレーすると思うか」という項目があった。その上位3位までの結果は以下の通りだ。

 1位 ニューヨーク・ニックス(63.3%)
 2位 ゴールデンステイト・ウォリアーズ(20.2%)
 3位 ブルックリン・ネッツ(4.5%)

 この問いに答えた109人のNBAプレーヤーのうち6割以上は、デュラントが一部の噂どおりに「ニックスに移籍する」と考えているということ。そんな未来が予想されている状況で、優勝を目指してチーム一丸となるのは簡単ではあるまい。
 
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2019.04.12
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