【球界ここだけの話(1525)】
自分は部屋の後方にいた“傍観者”だったが、一流の経営者の訓示に聞き入ってしまった。

1月24日、DeNAの南場智子オーナー(56)が、ドラフト1位・上茶谷大河投手(22)=東洋大=ら新人7選手に講義を行った。
前半は和やかなムードで親会社、ディー・エヌ・エーの業務内容などの説明だったが、中盤に入り、南場オーナーの表情は引き締まった。

「皆さんはプロフェッショナルキャリアが始まりました。これまでもしかしたら、やんちゃなこと、ずるをしたかもしれない。
社会に出る前はみんな寛大ですが、プロになると、それは18歳だろうと60歳だろうと消されない記録として残ります。
世の中から、ファンからすべて見られています。自分の人生を輝くものにするために、プロとしての自覚を持ってほしいと思います」

穏やかな口調ではあったが、一瞬でプロ選手、社会人の厳しさをたたき込んだ。そして、まずプロとして求めたのが「努力と工夫」だった。
目的意識を持って達成することがプロのキャリアだとし、「努力をするものが人生を楽しくし、工夫できる人が高い目標に到達できる」と展開。
目標を達成するまでの紆余(うよ)曲折の過程こそが「生きざまだと思います」と言い切った。

これに付随し「苦しい時こそ真価を発揮」することを求めた。自身は経営のトップにいながら、「自分で掘った落とし穴」に落ちた経験を明かす。
それでも「社員に這い上がり方を見せようと思った。しかも普通の人では見せられないような這い上がり方」で乗り切ったという。

「辛いときこそを後を向かずに逃げないでほしい」。
“生きざま”を見せた選手こそ「信頼を得て、現役引退後も球団から声がかかるものです」と経営者の目線で呼びかけた。

講義の締めくくりは「プロのスポーツはファンがすべてのベースにある」。
ファンへの感謝を忘れずに態度で示すことを厳命した。

「私は野球のことは分かりません。プレーの評価やオーダーには絶対に口を出しません。
しかし、ファンに対する態度がぞんざいな選手には寛大にはなりません。それは事業の基本として肝に銘じてください」

スポーツ選手でも記者でさえ、身にしみた講義だった。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190201-00000530-sanspo-base
2/1(金) 15:00配信