ANDY GREENE |2018/12/12 16:30
Rolling Stone Japan
ピンク・フロイドのドラマー、長年のメンバー同士の不仲を語る「本当にがっかり」

ピンク・フロイドのニック・メイスンが、ロジャー・ウォーターズとデイヴィッド・ギルモアによる長年の不和について語った。
「いい歳をした大人たちが長い間仲違いしたままなんて、本当にがっかりだ。今でもいがみ合っているなんて愚かなこと」。

ニック・メイスンは、ピンク・フロイドのドラマーとしてバンド内で常に特異なポジションを占めてきた。ソングライターとしてのクレジットは他のメンバーと比べて圧倒的に少ないものの、バンド内で唯一、全てのアルバムでプレイしてきたメンバーだ。
そして唯一、バンドの分裂に異を唱えているメンバーでもある。もしも彼がピンク・フロイドのリーダーだったら、バンドは今なおザ・ローリング・ストーンズのようにヘッドライナーとして世界中のスタジアムでプレイし続けていることだろう。
残念ながらピンク・フロイドのリーダーではないニック・メイスンは2019年、自らのニュープロジェクトであるニック・メイスンズ・ソーサーフル・オブ・シークレッツを率いて初の北米ツアーを行い、1973年以前のピンク・フロイドの楽曲をプレイする。

バンドを始めるにあたりメイスンは、デイヴィッド・ギルモアとロジャー・ウォーターズ両人の了解を取りつけた。
近年、ギルモアとウォーターズが直接言葉を交わすことはほとんどないものの、それぞれメイスンとは連絡を取り合っていた。
「とても不自然な状況だと思う」と両者がにらみ合う現在の状態についてメイスンは言う。「問題は、ロジャーがデイヴィッドをリスペクトしないことにあるんだと思っている。
ロジャーはソングライティングが最も重要だと考えている。ギターを弾いたり歌ったりは、誰でもできるとは言わないが、演奏よりも作詞・作曲で楽曲の良し悪しは判断されるべきだ、と彼は思っている」

メイスンはまた、1985年にウォーターズがバンドを離れた後もギルモアがピンク・フロイド名義で活動を続けていることも、争いのもとだと考えている。
「自分なしには続かないだろうと思ってバンドを去ったものの、思うように事が進まなかったことがロジャーを悩ませているんだと思う」とメイスンは言う。
「彼が今もずっと引きずっているせいで、にらみ合いが続いている。2人の間の問題だから、僕はなるべく首を突っ込まないようにしている。僕はそれぞれとは仲良くやっている。いい歳をした大人たちが長い間仲違いしたままなんて、本当にがっかりだ」

(中略)

ピンク・フロイドの多くのファン同様、メイスンもまた現在も続く2人の不和にフラストレーションを感じている。
「喧嘩と和解の繰り返しだ」と彼は言う。「アルバム再発の話が出た時には、そのやり方や選択方法でより一層揉めると思う」

しかし、メイスンは停戦を諦めた訳ではない。「望みは持っている」と彼は語る。「ピンク・フロイドとしてツアーに出ることはもうないと思うが、この歳になってまだ喧嘩しているなんて、おかしいだろう」

では、どのようにメイスンは仲違いする2人の間でニュートラルな立場を維持するのだろうか? 
「じっと身をかがめてやり過ごすだけさ」と彼は言う。

Translated by Smokva Tokyo


ピンク・フロイドのニック・メイスン、1977年2月撮影(Photo by Gijsbert Hanekroot/Redferns)
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