田中:みんながやっちゃうからね。ネタとしてじゃなくても、会話の中とか、ネットとかで。

 ――そこをどう裏切っていくかという苦労もあるわけですね。

 田中:まあ、でも、大きいネタがあるっていうのはやりやすいですよ。あんまり大きい出来事がないと、まずニュースの説明を僕がしなきゃいけないから。こういうことがあって、こうなったんですよ、っていうのをまず説明して、その後にボケるってなると、バランス的によくないし、そういうのはネタとしてもあまり強くないことが多いんですよね。

 本当は政治ネタをもうちょっとやりたいときもあるんだけど、『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ系)とか、年末年始のネタ番組とか、テレビで漫才をやるときには観覧のお客さんは若い女の子がほとんどですから。芸能ネタはいいんだけど、政治関係になっちゃうとほぼウケないだろうし。だから、ドナルド・トランプと金正恩は本当に助かった。わかりやすいし、誰でも知ってるし。

 太田:漫画チックだからね、トランプ、金正恩は。

■太田光「不謹慎ギリギリを狙わないといけない」

 ――最近では、週刊誌で報じられた太田さんの裏口入学疑惑も漫才のネタにされていましたね。太田さんがご自分のことをネタにするのは今まであまり印象になかったんですけど。ずっと時事ネタを扱ってきた太田さんにとって「自分自身が時事ネタになる」っていうのはどういうお気持ちだったんでしょうか? 

 太田:たとえば、こいつ(田中)が金玉取ったとか、そういうのに近い感覚かな。そういう1つの定番になりつつあるっていうか。ただ、あれは裁判が絡むから、言っちゃいけない部分が出てくるわけで。そこの度合いは何となく、ごまかし、ごまかし、みたいな。

 ――お客さんの立場としては、この時期にその話題に触れないのは何か気持ち悪い、っていう感覚もありそうですよね。

 太田:それはもちろん。東日本大震災のときもそうだった。あれで一時期バラエティが全部休止したんですよ。ウチがやってた『爆問パニックフェイス!』(TBS系)っていうドッキリ番組も、タイトルからしてダメだ、っていうことになって。『爆問パワフルフェイス!』っていう名前で仕切り直すことになって、震災から1〜2カ月後ぐらいにネタ番組として特番をやることになりました。

つづく