今年のプロ野球は松井稼頭央(西武)、岩瀬仁紀(中日)、新井貴浩(広島)ら大物の引退が相次いだ。自分の意思で辞められるなら幸せだが、戦力外という残酷な響きの通告によりユニホームを脱ぐ者もいる。

 「まだやれる」かどうかは選手自身の考え方だが、「移籍できていれば」という選手も少なくない。活躍できないのは実力の問題だけではない。そのときの編成上の問題や、監督・首脳陣と“そりが合わない”という場合もある。トレードで移籍できればいいが、いまだプロ野球にはネガティブなイメージもあってなかなか活発とはいえない。そこには金の問題もある。12球団の申し合わせで、契約金は最高で1億円プラス出来高5000万円。夢のある金額ともいえるが、まだ1球も投げず、1打席も立っていない選手が受け取る額としては少々法外かもしれない。ポテンシャルはありながら、なかなか活躍の場を得られない選手についてたずねると、某球団幹部から「うちも高い契約金を払っているから」という本音を聞いたこともある。

 球団によって差異はあるが、元ドラフト1位選手が「税金を引かれて約6000万円、あっという間になくなった」と証言するように、契約金は1度に渡されるケースがほとんど。それなら「○年在籍したら満額」というように分割で支払うようにすれば、球団の「もったいない」感覚も多少は薄れるのではないか。

 「そろそろレンタル移籍を考えてもいい」とはある選手OBだ。サッカーでは当たり前でも、野球の場合はサインや選手の特徴などの流失を嫌がる傾向もあって、なかなか議論にならない。

https://www.sanspo.com/baseball/news/20181004/npb18100411300003-n1.html