サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会は、大詰めを迎えた。優勝争いはフランス、ベルギー、クロアチア、イングランドの欧州勢4チームに絞り込まれた。南米、北中米、アジアからも、計5チームが16強による決勝トーナメントに進み、ネイマール(ブラジル)やメッシ(アルゼンチン)といった能力の高い選手を擁するチームもあったが、全て姿を消している。欧州勢の4強独占は、なぜ起きたのか。(読売新聞メディア局編集部・込山駿)

ヘディング勝負は欧州に一日の長

4強の各チームは決勝トーナメントで2試合ずつを戦い、計17点を奪った。このうち、ヘディングで決めたゴールが7点あり、特にイングランドとクロアチアは、ともに3得点中2点を占める。ベルギーも、日本に逆転勝ちした1回戦は1、2点目がヘディング。6得点のうち1点だけだったフランスにしても、ウルグアイとの準々決勝の先制ゴールという勝負どころの得点がヘディングだった。

 では、4強に敗れた各チームが空中戦を諦めて足技で対抗していたかというと、そうでもなかった。イングランドに敗れたコロンビアは同点ゴールを頭で決めたし、フランスに3―4で敗退したアルゼンチンの3点目もメッシからの正確なハイボールを頭で合わせたものだった。空中戦の応酬で上回ったチームが勝ち上がる傾向が目立ったという見方はできそうだ。

 世界のサッカーに通じ、今大会を現地で取材した読売新聞の川島健司編集委員は、こう分析する。「決勝トーナメントはここまで、相手選手を自由にプレーさせない厳しい守備を敷くチーム同士の争いになっている。スペースのない戦いで相手ゴールをこじ開けるためには、高さがモノを言う。概して足技にたけた選手が多い南米勢が、高さ勝負に付き合わされた格好ではないか」

 4強各チームのメンバーを見ると、フランスがジルー(1メートル93)、ベルギーがルカク(1メートル90)、クロアチアがマンジュキッチ(1メートル90)、イングランドがケーン(1メートル88)と、どのチームも上背が1メートル90前後あるFWを先発させている。「空中戦勝負になれば、伝統的に南米勢などよりも、体格のいい欧州勢に一日の長がある。それが勝ち上がりに現れているのではないか」と、川島編集委員は語る。

つづく

7/10(火) 11:20配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180710-00010000-yomonline-spo