メジャー新潮流「2番打者最強説」 日本にもあてはまる?
5/22(火) 16:00配信 NEWS ポストセブン
http://www.news-postseven.com/archives/20180522_677663.html
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北海道で才能が開花した大田泰示(時事通信フォト)
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日本ハム・大田泰示【写真:石川加奈子】
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大田 泰示(北海道日本ハムファイターズ) | 個人別年度成績
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野球チームで4番バッターといえば、そのチームで一番頼りになる選手。ところがメジャーでは今、「2番に最強の打者を置け」という常識が定着しつつある。
15日のアストロズ戦では、大谷が「2番DH」でスタメン出場した。

日本では“バントの神様”と呼ばれ、巨人・中日で活躍した川相昌弘のような選手が「典型的な2番打者」という印象が今も根強くある。
1999年に日本ハムで「バントしない2番打者」として小笠原道大がブレイクしたり、2015年に優勝したヤクルトが首位打者の川端慎吾(30)を2番に据えたりと、日本でも「2番に強打者」というチームは現われるが、それが定着しない。

辛口評論で知られる江本孟紀氏は、「日本で2番に強打者を置いても、継続的にうまくいかない」と断じる。

「メジャーで流行っているからといって真似をしてもダメですよ。“長打力と高出塁率”の両立を継続できる選手なんて、日本にはなかなか見当たらないし、逆に大きいのを打てるわけでもないのにやたらとバットを振り回す奴が増えている。

日本では、むしろ2番にきちんと“つなぎ役”を置いて、チームとしてバントや盗塁といった小技を武器にしているチームの成績が安定していい。昨年でいえば、リーグで最もバント数が多かった広島とソフトバンクが、それぞれ優勝を果たしています」(同前)

たしかに広島の2番・菊池涼介(28)は昨季、「打率.271、14本塁打、8盗塁」、ソフトバンクの2番・今宮健太(26)も「打率.264、14本塁打、15盗塁」といずれも“俊足巧打”タイプ。

「昨シーズンだって、楽天がバントしないペゲーロ(31)を2番に置いたり、巨人がマギー(35)に2番を打たせたりしましたが、優勝できなかった。ヤクルトにしても、2番・川端が機能したのは1シーズンだけで、優勝した翌年にBクラスに転落しています」(江本氏)

今年の上位チームに目を向けても、開幕ダッシュに成功した西武は、1番の秋山翔吾(30)、3番の浅村栄斗(27)、4番の山川穂高(26)、5番の森友哉(22)と、上位にホームランの狙えるバッターが並ぶ“山賊打線”のなかで、2番を任される源田壮亮(25)だけは本塁打ゼロ。
打率.310、11盗塁、5犠打と、「つなぎ役」に徹し、チームは結果を出している(成績は5月16日終了時点、以下同)。

「その一方で、2番に外国人選手の強打者を起用してきた楽天は、ペゲーロが不振で打順を下げなければいけないなど、2番を固定できず、最下位に沈んでいる。日本球界でみれば“つなぎ役の2番”が優勢の状況なのはたしか。

ただ、注目は今季、日本ハムの大田泰示(27)が2番に固定されていること。栗山英樹監督のことですから、メジャーの潮流を意識しているのでしょう。大田は期待に応えてすでに10本塁打を放ち、『恐怖の2番』の資質はある」(担当記者)

大田の出塁率.319はMLBの“スター2番”と比べると物足りない数字だが、それを上向かせ、チームを優勝に導けば、日本に“強打の最強2番”が根付くきっかけになるかもしれない。

※週刊ポスト2018年6月1日号