http://www.bbc.com/japanese/42685500

米俳優マーク・ウォールバーグ氏は14日、セクハラ被害者向け法的支援の基金「Time's Up(もう時間切れ)」に150万ドル(約1億6600万円)を寄付したと発表した。

映画「All the Money in the World」の再撮影のためウォールバーグ氏に150万ドルが支払われたのに対して、共演の米女優ミシェル・ウィリアムズ氏は1日当たり80ドル(約8800円)しか支払われなかったと報道で明らかになっていた。

撮影が終了していた「All the Money in the World」は、出演していた米俳優ケビン・スペイシー氏が性的加害行為の指摘を受けたことから出演場面を削除、再撮影をしなければならなかった。

「Time's Up」は性的嫌がらせに抗議する運動で、メディアや映画業界、放送業界で性的暴力の指摘が相次いだことから、今年1月初旬に始まった。
運動は基金を設立し、職場で性的嫌がらせや暴力、攻撃を受けた被害者への法的支援を行う。

今回の寄付についてウォールバーグ氏は声明を出し、「ここ数日間、映画『All the Money in the World』の再撮影の賃金が、重要な話題となっていました」と述べた。
また「私は公正な賃金を求める闘いを100%支持しています。このため『Time's Up』法的支援基金に、ミシェル・ウィリアムズの名前で150万ドルを寄付します」と表明した。

ウォールバーグとウィリアムズ両氏の代理事務所、ウィリアム・モリス・エンデバーは、今月すでに「Time's Up」運動に100万ドル(約1億1000万円)の寄付を約束していたものの、追加で50万ドル(約5500万円)寄付すると発表した。

ウィリアムズ氏は決定に関係した人たちに感謝の意を表明し、「この日を迎えられたのは自分1人の力ではありません。同僚の女優たちが私に寄り添い私のために立ち上がり、活動家の友人たちは私が自分の声を上げることを教えてくれ、最も責任ある立場の男性たちが耳を傾けてくれ行動してくれました。私たちが真に平等な世界を思い描くのであれば、犠牲と同等の努力が必要です」と述べた。
「今日はマーク・ウォールバーグとウィリアム・モリス・エンデバーと、偉業達成を一緒になって支えてくれた女性と男性の皆さんのおかげで、人生で最も忘れられない日の一つになりました」

ウィリアムズ氏はさらに、スペイシー氏から被害に遭ったと初めて名乗り出た俳優アンソニー・ラップ氏にも敬意を表した。「アンソニー・ラップ、あなたが支えにした全ての手本があり、私たちはあなたに倣うことができる」とウィリアムズ氏は話した。
昨年秋にスペイシー氏やプロデューサーのハービー・ワインスティーン氏を含めた一連の著名人に対して被害を訴える声が上がって以来、性的嫌がらせや加害行動の問題は特に注目されるようになった。

「#MeToo」(私も)ハッシュタグは、さまざまな職業の女性と男性がソーシャルメディアに自分たちの体験を共有するきっかけとなった。
去年12月、米タイム誌は毎年恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に「沈黙を破った人たち」を選んだ。
ここ数カ月で、「性差による賃金格差」の存在はさまざまな部門で問題視されるようになった。
先週、BBCの中国編集長キャリー・グレイシー氏が、同じ編集長職の男性同僚たちと同等の賃金を受け取っていないとして、編集長の職を辞任した。
BBCは声明文で、社内で「女性に対する体系的な差別はない」と説明している。

(英語記事 Mark Wahlberg donates reshoot fee to Time's Up defence fund)

2018/01/15

映画「All the Money in the World(原題)」の再撮影で、ウォールバーグ氏の報酬は150万ドルだったが、共演のウィリアムズ氏は1日当たり80ドルだった
https://ichef-1.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/576A/production/_99587322_c4e83d8c-1331-4fb5-91a3-ee55f8337943.jpg