J2でダントツの最下位に沈んでいるチームがある。ザスパクサツ群馬だ。今季は開幕から6連敗を喫するなど開幕から低迷している。途中連勝もあったが5月28日のアビスパ福岡戦を最後にリーグ戦で勝てておらず閉塞感が漂っている。

8月11日のカマタマーレ讃岐の試合では21位VS22位というJ3降格を争う直接対決であったがこの試合も勝てず、監督やフロントの責任問題に発展している。

かつて、ザスパクサツは深刻な経営難に陥っていた。Jリーグでは3季連続赤字になるとライセンスが剥奪となる。2季赤字だったザスパを救いJ1ライセンスを取得するまでに復活させたのが菅原宏GMである。

菅原宏GMとは何者か?

ここで問題になるのが菅原GMの経歴である。

ザスパクサツでGMになった時のプロフィールは以下のように書かれていた。

菅原 宏 取締役ゼネラルマネージャー(GM) プロフィール

■生年月日:1963年8月28日生まれ(51歳)

■最終学歴:1986年3月 足利工業大学土木工学科卒

■略歴:

1986年4月 池下工業(株) 入社

1987年5月 菅原土建(株) 入社

1999年4月 (株)菅原 代表取締役社長

2007年12月 (株)図南クラブ 代表取締役社長

2012年1月 一般社団法人tonanスポーツクラブ 代表理事

2014年2月 椛崇テ温泉フットボールクラブ 取締役クラブライセンス対策本部長

■主な公職:

一般社団法人 日本クラブユース連盟 地域理事 (2012年〜)

関東クラブユース連盟 理事長 (2012年〜)

一般社団法人 群馬県サッカー協会 専務理事 (2014年〜)

前橋市サッカー協会 理事長 (1995年〜)

前橋市体育協会 副会長

ザスパクサツ公式ホームページより

簡単にいうと前橋市のサッカーを発展させてきた人物である。

前橋商業高校で初の全国大会に出場した時のメンバーで、高校卒業後に現在のtonan前橋の前進である図南クラブを設立した。自身が稼業を継ぐために体育大学進学をあきらめたため前橋商業高校OBで構成されるチームを作ったというのが当初の目的であった。

2014年にザスパクサツのGMに就任したが、tonan前橋というチームで監督兼代表を務めてきた人物がJ2でGMも兼務するのはありなのか?という問題だ。

実際に菅原GM体制では今季新人を多く獲得した。正ゴールキーパーの牲川歩見をはじめ多くの若手選手が起用されているが、一方で若手がtonan前橋に期限付き移籍でレンタルへ出されている。

例えば、8月18日のJリーグでの移籍情報はこうだ。

MF佐藤遵樹、MF志村駿太、MF早坂龍之介(tonan前橋へ移籍)

DF藤原雅斗、DF中村俊貴(tonan前橋へ期限付き移籍)

GKハン・ホドン(tonan前橋へ移籍)

菅原宏GMは「選手の強化・育成において、公式戦における実戦経験が最も意義のある事と考え、昨年に引き続き今回の移籍を決定いたしました。関東リーグ2部公式戦で経験を積み、ザスパの戦力として復帰させる予定です」と語っており、tonan前橋で経験を積み成長したら復帰させることをコメントしている。

期限付き移籍をしながらも「週に何回かはザスパの練習に参加する(菅原宏GM談)」というのが生み出された手法だ。

しかし、現状では上手くいっていないというのが正直なところだ。2016年3月にザスパからtonan前橋・tonan前橋サテライトに期限付き代表へ5選手が移籍した。

朴昇利、中村俊貴、福島遼、大岩亮太、オ・ハンビンの5選手である。彼らのの2017年所属は以下となっている。

朴昇利(ザスパクサツ群馬、プロ契約へとステップアップ)

中村俊貴(tonan前橋へ再び期限付き移籍)

福島遼(引退)

大岩亮太(大学進学)

オ・ハンビン(無所属)

今のところ昨年tonanでプレーした選手がザスパの主力へと成長するようなことはない。

また、同シーズンは2つの問題が起こった。

加入したばかりの八角大智が契約解除となったのだが、それがtonan前橋への移籍を断ったからではないかというものだ。八角は前にグルージャ盛岡へ移っている。

また、9月に一度はtonan前橋へ期限付き移籍が決まったと報道されたのち移籍が取り消しとなり登録抹消となったイム・チョンビンのケースがある。イムは昨シーズンを持ってザスパを退団しその後は無所属となっている。