JCの初めてを奪ってしまった結果
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
スレとか立てたことなかったけどこんな感じでいいですかね?
昔のことを思い出す事があったので書きだめてたこと書かせてください。
昔の話なので思い出補正はかなり入っているので変なとこあったら許してください。 中学1年の時の話
俺は隣の席の「はるか」のことが好きだった。
俺は小さい頃は都会に住んでいたが、小学3年生の時にこの町に引っ越してきたがなかなか馴染めなかった。
そんな時に優しく接してくれたのがはるかだった。
その頃から俺ははるかが好きだった。
中学にあがって同じクラス、しかも隣の席になった時には舞い上がった。 スペック書いときます。
俺 今は30代のおっさん
中1当時、チビ、サッカー部
当時はクールなキャラを演じてましたが、ただのコミュ障のカッコつけ
顔はよく雰囲気だけは松潤っていわれてたから仮に松本とします。(おこがましいですが…怒らないでください)
好きな子
小柄で細身
黒髪ロングの透明感半端ない美少女
今で言う綾瀬はるかみたいな感じ
大人しくて口数少なめ。音楽部
ピアノがうまい。
仮にはるかとします。 入学当初は漫画で見るようなはるかと過ごすバラ色の中学ライフとかを妄想していた。
しかし、入学後、しばらくしてから斜め後ろの席のちんちくりんな女がよく絡んでくるようになった。
ちんちくりん女のスペック
学年でダントツのチビで貧乳
いつも真っ黒に日焼けしていて、男勝り、凶暴、陸上部
黙ってればかわいいので一部のマニアには人気があった。
顔は今で言う有村架純のような小動物系
仮に架純とします。
架純は消しゴムを投げつけてきたり、給食のデザートを奪ったりとにかく俺にからんでくるようになった。
クラスでは俺とコンビ扱い、はるかも笑いながら俺たちを見ていたが、その度にはるかが俺の事を何とも思ってないのかと勝手に凹んでいた。 中学校最初の中間テストの時、架純がいつものように俺の席に近づいてくると
「テストの成績、勝負しよう!負けた方が昼飯おごりで!」
と自信満々に言った。
それを見ていたはるかが
「架純ちゃん…やめた方が…」
と止めたが、それでも架純は自信満々に
「コイツ、アホそうだから絶対勝てるし!」
と俺を見下すように言った。
そこまで言われては引くことができない俺は勝負を受けることにした。
そして、テストの結果発表の日
テスト結果は茶封筒にちっちゃい紙が入れられて配られてたと思う。
架純は俺の席に来ると
「約束、忘れてないよね」
とニヤニヤしながら言った。
「いいだろう。受けてやる」
「せーの!」
そう叫ぶと俺たちは封筒からテスト結果を出すと同時に机に叩きつけた。 俺……学年2位
架純……学年149位
架純が固まったまま動かなくなった。
俺は実は勉強はそれなりにできたのだ。
「だからやめた方がって言ったのに…」
隣の席のはるかが口を挟んだ。
「うるさい、はるか!勝負!せーの!」
架純は再びテスト結果を机に叩きつけた。
オドオドしながら困っているはるか。
「早くしてよ!せーの!ドン!ドン!
架純が急かすと申し訳なさそうにはるかがテスト結果を机に置いた。
……15位
架純、再びフリーズ
というか学年が150人しかいないから149位はビリ2だ。
はるかがビリでない限り勝ち目は無いのに、こいつアホすぎる。 その週末、俺たちは架純のおごりでファミレスに行くことになった。
ただ飯を食うだけだとすぐ終わるから課題になってた将来の夢的な作文?みたいなやつを一緒にやることになった。
(架純はやけに嫌がっていたが)
当日、俺は私服のはるかに会えるのが楽しみで鏡の前で30分ほど髪をセットしたあとファミレスに向かった。
ファミレスに着くと、はるかがすでに店の前で待っていた。
イメージどおり白系のワンピース
「お、おっす」
俺は冷静にクールなキャラを装っていたが心の中では
「はるか、かわええええぇぇえ!」
と叫びまくりだった。 その後、俺とはるかは今日の財布が着くのを他愛もない話をしながら待った、
が、一向に来ない。
集合時間から遅れること15分、チャリに乗った架純が現れた。
「おっす、待った?」
架純はてっきり学校のジャージで現れるかと思ったが、意外にもオシャレ。
ホットパンツから伸びる陸上で鍛えた健康的な太ももに、不覚にもドキッとしてしまった。
こいつ、黙ってれば普通にかわいいのにな…
なんて事は言えず
「待ったに決まってるだろボケ!」
などといつもどおりのツッコミを入れて店に入った。 飯を食い終わって課題の制作にとりかかったが、将来の夢…
漠然とした話でピンと来ないが俺は小学校の時からこういう時に決まって書き続けている「サッカー選手」って書いたと思う。
「潤くんはなんて書いた?」
はるかが覗き込んできたので俺は書いた紙を見せた。
「小学校の時と一緒だ。てっきりお父さんと同じ仕事を書くかと思ってた。」
はるかはかわいく微笑みながら言った。
俺の親父はちょっと特殊な仕事をしていて、忙しくてほとんど家にはいない。
田舎に家を建ててからは職場が遠く、ほとんど単身赴任のため、俺は看護師をしている母親と2人暮らしだ。
迷惑かかると困るので詳しくは書けないけど、厳しい仕事をしている父を尊敬はしているけど、いつも家にいない父を見ていて同じ仕事はしたくないと思っていた。 「はるかはどうなんだよ?」
俺がチラッと覗くと、はるかは恥ずかしそうに紙を見せた。
「保育士さん」(当時は保母さん)
はるかの家は保育園を経営しており、母親も保育士だ。
優しいはるかにぴったりだと思った。
「お前は?」
俺は隠れるように書いている架純に問いかけた。
「べ、別になんでもいいだろ!」
架純は紙を隠すと慌てながらいった。
「何でだよ!別にいいだろ」
「やめろ、離せ!」
こんな感じで押し合いをしながら俺は架純から紙を奪った。
タイトル「普通になりたい」
俺とはるかは驚いて顔を見合わせた。
架純が慌てて俺から課題を奪い返した。
微妙な空気が流れた。 下を向く架純に俺が
「まぁ、お前が普通じゃないの自覚してたのは意外だったよ」
と言った途端、コップのコーラをぶっかけられた。
店員のお姉さんが慌てて拭いてくれた。
俺は下を向く架純に申し訳なくなりとりあえず謝った。
すると、架純は呟くように言った。
「普通でいいんだよ。普通で。普通に高校行って、普通に就職して、普通に結婚して、普通に子供産んで幸せに暮らす。別にいいだろ、この話はおしまい!」
架純はそう言うといつもの架純に戻った。
後で知った話だと架純はおばあちゃんに育てられたそうだ。
架純は母親が16歳で産んだ子で父親も知らないらしい。
母親はおばあちゃんに産まれたばかりの架純を預けてどこかに行ってしまったそうだ。
授業参観や三者面談にも来ていたのはいつもおばあちゃんだった。
それを知ってこの時はほんとうに酷いことを言ってしまったと思う。
その後は、俺、はるか、架純でよく絡むようになった。
俺と架純の夫婦漫才をはるかがなだめる。
ちびっ子3人組のやり取りがクラスの名物みたいになっていった。
思えばこの時の距離感が一番心地よかったかもしれない。
でも、この関係は長くは続かなかった。
俺がすべてをぶち壊してしまった。 中1のバレンタインデー
俺は朝からはるかからチョコをもらう妄想に浸って1日ニヤニヤしていたと思う。
部活が終わったらはるかが待っていたらどうしようか…などと妄想をしながら部活に向かう途中で俺は見てしまった。
校舎の隅で恥ずかしそうにチョコらしきものを男に渡すはるかを。
そして、満更でもない表情の野球部のアイツを。
あたりまえだ、どっからどうみても美少女のはるかにチョコをもらって嬉しくない奴なんているわけない。
その日の部活は全く集中出来ずに終わった。
はるかはアイツと付き合うのだろうか。
もしかしてキスした?
部活が終わった後はまさか!
などと妄想が暴走モードで何にも覚えていないまま部活を終えて、着替えて部室を出た。 帰り道を呆然と歩いていると後ろから「ドカッ」という衝撃が頭に当たった。
振り向くとスクールバッグを振り上げた架純が立っていた。
「よう!どうしたんだ?暗い顔して。」
架純はいつもの様に絡んでくる。
俺はこんな時にまで架純の相手をする気になれず無視して歩き出した。
架純は俺を追い越すとからかうように言った。
「あ、わかった!チョコもらえなくて凹んでるんだ!」
この言葉を聞いてはるかの事を思い出した俺はキレた。
「うるせぇな!いちいち絡んでくるなよ!うぜぇんだよ!」
いくら架純にでも言いすぎたかと我に返った瞬間、何かを顔面に投げつけられた。
「いてっ!」
衝撃で顔を押さえた。
ちょっと血が出た。 俺が顔をあげるとそこには今まで見たことないような顔で涙を浮かべる架純がいた。
そして、そのまま走り去ってしまった。
足元を見ると架純が投げつけたであろう小さな木箱と地面にちらばったものが目に入った。
チョコだ、しかも手作り
そこには、ハートの形をしたチョコレートが散らばっていた。
俺はチョコを拾い集めると家に持って帰って綺麗なのを選んで食べた。
割れたものもあったが、すごく上手に作られてて普段のガサツな架純からは想像出来ないくらいの出来だった。
砂がついてしまった物もあったが、すごく甘かったのを覚えている。 その日以降、架純が俺に絡んでくることは無くなった。
俺は何度も謝ろうと思ったが、なんと言っていいかわからず、架純に話しかけることもしなかった。
噂では、はるかは野球部の男と付き合っているらしかった。
でもそれよりも、心の中にはあの日の架純の泣き顔が焼き付いて離れなかった。
このギスギスした関係は中1の間ずっと続いた。
俺たちは中2になった時にクラスがバラバラになってしまい、結局、架純には謝ることもできなかった。 中2になっても、はるかとは学校であったら話はするが、架純は話もしない、というか目すら合わせてこない状態だった。
モヤモヤしたまま、中2もなんとなく過ぎていき、林間学校があった。
この学校が既に山奥の林間学校なのに何で別の県の山奥に行かなくちゃならないんだとか思った。
夜はコテージみたいなとこに班ごとに泊った。
コテージの男どもとトランプをやったり、エロい話をしたりして盛り上がったが、その時クラスメイトの1人がみんなを集めて言った。
「あのさ、俺。B組の女子と部屋に遊びに行くって約束したんだよ。夜、鍵開けておくからみんなで来てって……」
みんながザワついた。
夜、女の子の部屋、侵入……
思春期の男達が湧かないわけがなかった。
俺は別の意味でも心がザワついた。
B組……架純のクラスだった
8人くらいの部屋だったと思うが、結局ビビった3人を残して、俺たちは5人で女子のコテージに遊びに行くことになった。
消灯後、俺たちはコテージを抜け出して見回りの先生を警戒しながら暗い道を目的のコテージに向かって歩いた。 コテージに着いてそっとドアを空けると女の子が招き入れてくれた。
女子達は部屋の真ん中に座って話をしていたが、その中に架純はいた。
体育座りをしてちっちゃくなっている。
架純は俺に気付くと、不機嫌そうに目を逸らした。
どうやら相当、根に持っているようだ。
俺たちは女子の輪の中に入るとくだらない話を始めた。
とはいえ思春期の男女が深夜集まってする事と言えば恋バナに決まってる。
学校のカップルの話とか、誰が好きとか、そんな話で盛り上がっていた。
俺は輪の反対側に座っていた架純の様子を伺ったが黙って下を向いたままだった。 そんな時、
「音楽部のはるかと野球部の〇〇付き合ってるらしいよ」
という話が出てきた。
俺は内心ドキッとした。
架純は知らなかったようで
「え?ほんと?」
などと聞いていた。
女子の1人が
「去年のバレンタインにはるかから告ったらしいよ」
と聞きたくもない話をしてきた。
あの日の事は思い出したくもない、さっさとこの話を終わらせて欲しかった。
しかし、クラスメイトの男がさらにとんでもないことをぶっ込んできた。
「そういえば松本!お前小学校の時から、はるかの事好きだったよな!」
空気読めよ!マジでそう思った。
「昔の話だろ、今は別に…」
などと言い訳をしながら架純の方を見た。
架純はじっと俺の方を見つめている。
その時、女子の1人がさらにとんでもないこと言い出した。
「松本くんが綾瀬さん好きだったの意外だなぁ。てっきり架純と付き合ってるんだと思ってた」
それを聞くと架純が突然立ち上がり全力で否定した。
「はぁ!なんでそうなるの!」
「ああ、確かにわかる。1年の時お前らめちゃくちゃ仲良かったじゃん」
男子が相槌をうった。
そこから一気に畳み掛けられる。
「でも、最近あんまり話してないよね」
「喧嘩した?別れた?」
「松本に変な事されなかった?」
など悪ノリで盛り上がる間、架純は震えながら下を向いていた。 その時、俺は立ち上がると、架純の腕を掴んで
「悪い、ちょっと架純借りる」
と言ってコテージの外に引っ張り出した。
冷やかすクラスメイト達を無視すると俺は架純の腕を掴んだまま人目につかない林の中に入った。
架純は何があったかわからない感じで
「え?なに?」
などと言っていたがしばらく進んだところで架純の肩を掴んで俺の方を向かせた。
「え?え?」
架純は困惑していたが、正直俺も何も考えてなかった。
ただ、あの空間に架純を置いておくのが耐えられなかった。
何か言わないとと思って振り絞った言葉が
「いろいろごめん、チョコうまかった」
だった。
架純はキョトンとしていたが、しばらくたつと静かに笑いだした。
「なに、落ちたチョコ食べたの。お腹壊さなかった?」
「うん、ちょっと砂ついてたけど大丈夫だった」
架純はしばらくしゃがみこんで笑っていた。
久しぶりに笑顔の架純を見た。
なぜかすごく嬉しかった。
その後、俺たちは先生に見つからないようにそれぞれのコテージに戻った。
クラスメイトにはかなり冷やかされたが適当に流した。
林間学校が終わってからは元の架純に戻っていた。
廊下ですれ違うと蹴りを入れられたり、目が合うと中指を立ててきたり、元の関係に戻れた感じだった。 そして、中2のバレンタインデー、部活が終わった帰り道、去年と同じように架純が待っていた。
「おっす。」
架純が手を上げて俺に近づいてくる。
架純は俺の前までくるとスクールバッグから取り出した木の小箱を差し出した。
「今度は砂付きじゃ無いやつ」
架純はちょっと照れくさそうに目を逸らした。
「ありがとう。」
俺は差し出された箱を受け取った。
「え?やけに素直じゃない?」
架純が物足りなそうに言った。
確かに、今までなら俺がクールを気取った毒舌をかまして架純の蹴りが飛んでくる流れだった。
「俺さ……」
俺が言うと架純が俺の顔をのぞき込みながら寄ってくる。
ちょっとドキッとした。
大人しくしてるコイツは悔しいが本当にかわいい。
「お前の事好きかもしれない」
俺がぼそっとつぶやくと、架純は少しビックリしたが、笑いながら
「私も潤が好きかもしれない」
と言った。 そうして俺たちは付き合うことになった。
付き合うと言っても学校帰りに川原で話したりするだけのピュアな付き合いだった。
というか、地元には遊ぶ場所もないので川原で話すくらいしかやることがなかった。
付き合ってみて初めて気が付いたが、2人の時のコイツはやけに素直で本当にかわいい。
そして、とても傷つきやすく、涙もろい。
みんなの前では相変わらず凶暴で蹴りなど飛ばしてくるが、あれは多分架純なりに精一杯弱い自分を隠そうとしてたんだと思う。
小さい頃に母親に捨てられた事が関係しているんじゃないかと思った。
陸上部の友達と喧嘩した後はずっと泣いていた。
話を聞いたら本当にくだらない喧嘩だったけど、架純はとても思い詰めて泣き止まなかった。
俺が支えてあげないとすぐに潰れてしまいそうだと思った。 そんな俺達も中3になり、受験を意識するようになった。
クラスはまた別だったし、デートはいつも部活帰りの川原だった。
ある時、進路について話したことがあった
「潤は高校どうするの?」
架純に聞かれた。
この町のことは嫌いじゃない。
でも、昔は都会に住んでいたこともあり、この閉鎖的で狭い世界に一生いるつもりはなかった。
そのため、担任からも勧められていた〇〇高校を考えていると答えた。
〇〇高校は地元から電車で1時間くらいのところにある進学校でサッカーもまぁまぁ強い。
架純は
「〇〇高校ってめちゃくちゃ頭いい所じゃん!」
と驚いたが、すぐに
「そっか…あと1年で離れ離れか……」
と寂しそうにつぶやいた。
「私はバカだから行ける学校なんて選べないし……私は先生に△△高校を勧められた。というかそこしか行けるところないって。」
俺の地元は田舎のため選べる高校も少ない。
3分の2くらいは地元か隣の市の高校に進む。
進学校と呼べる高校は近くに無い。
そのため残り3分の1の生徒は電車に乗って1時間以上かけて遠くの学校に行くか、下宿をして地元から出る。
ちなみに、高校で地元に残った生徒はほとんどが地元で就職する。
地元を出た生徒は、外で大学に行ったり就職することがほとんどだ。
そのため、他の地域以上に高校の選択は一生を大きく左右する。 1です。書き込めなくて苦戦してました。
途中で書けなくなったらごめんなさい。 ID変わってますが気にしないでください。
続き↓
「△△高校ってお母さんの出身校なんだよね」
架純は寂しそうに言った。
△△高校は数少ない地元校の中でも1番荒れている学校だ。
確かに、そんなところに入学して架純はやって行けるのだろうか。
「あたしはお母さんみたいになりたくない。普通に幸せな高校生活を過ごしたい。」
架純がそう言ったところで俺が提案した。
「頑張って勉強してみない?あと1年あるし。俺が教えられるところは教えるからさ」
架純は少し考えると
「うん、頑張ってみる。私も〇〇高校行く」
と言った。
「私はこの街しか知らないから、外で生活するなんて想像できなかった。でも、決めた。私は都会の女になる。潤と一緒にこの街を出る!」
架純は小さく拳を握った。
そこから、俺たちは学校帰りに俺の家で勉強するようになった。
俺の家は母さんが看護士で帰りが遅いので家には誰もいなかった。
親がいない俺の部屋に女の子と2人きり……
やる気を出した架純のためにも暴走しそうな下心を押さえ続けた。
その甲斐もあってか1学期の中間テストで、いつもビリ争いをしていた架純が真ん中の成績まで取ることができた。 本当に一緒に〇〇高校に行けるかもと思い始めていたころ、親父が入院した。
母親からは胃潰瘍だからすぐに退院できると聞いていた。
単身赴任中だった親父は一旦戻ってきて母親が働く病院に入院した。
さすがに親父が入院しているのに女の子と家に入り浸るのは気が引けるのでしばらくは家での勉強会を控えた。
部活の最後の大会の前日、俺は親父のお見舞いに行った。
親父は少し痩せたように見えたが、俺が病室に入ると
「よう、彼女できたか?」
などと冗談交じりで聞いてきたので適当に流した。
親父は冗談が好きでとてもにぎやかな人、お堅い仕事についているようには到底思えない。
でも、いつもどおりの親父を見て俺は安心した。
しばらく病室にいた後、俺は明日は大会だからと病室を後にしようとした時、親父に呼び止められた。
「潤……頑張れよ……」
いつもふざけた親父の真剣な表情を久しぶりに見た。
俺はわかったと答えて病室を出たが、これが親父との最後の会話になった。 大会当日…
まだ前半も半分くらいの時だったと思う、審判の笛でグランド脇に目をやると、俺の背番号が表示されたボードが掲げられていた。交代だ。
俺のプレーは悪くなかったし、まだ前半、納得出来ずに顧問に詰めよろうとしたが、
「すぐにお父さんの病院に行け」
と言われた。
その後はよく覚えてない、覚えているのは病室に入ると母親が泣き崩れていた事だけ。
そこからはあっという間だった。
通夜があって告別式、クラスメイトやサッカー部の仲間が駆けつけてくれたが、俺は涙が出なかった。
「胃潰瘍じゃなかったのか?なんで親父が死ぬんだよ。」
とかいろいろ考えてた。
後で母親から聞いた話だと親父は癌だったらしい。
末期で発見が遅かったのと、若かったせいで進行が早かったので手の施しようがなかったらしい。
親父が俺に余計な気をつかわせたくないと秘密にしていたそうだった。
それを聞いて
「ふざけんな、なんで教えてくれなかったんだよ!」
と母親に詰め寄った俺は本当にお子様だったと思う。 呆然としながら通夜を済ませた時、焼香に来てくれた架純が目に涙を浮かべているのを見て、そこで一気に涙があふれてきた。
一時は高校に行かずに働いて母さんを助けるべきなんじゃないかと考えたが、母親も看護士をしていたのでお金の心配はしないでいいから好きな道を行けと言われた。
親父との最後の面会の時、なんであんなに素っ気ない態度を取ったんだろう、彼女できたか?と言われた時に架純を紹介してやらなかったんだろう。とかいろいろ後悔した。
そんな葛藤もあって、落ち着いた後に母さんに架純を紹介した。
母さんはめちゃくちゃ喜んでくれたし、架純も本当のお母さんが出来たみたいで嬉しいと言っていた。
親公認の仲になった俺たちは家での勉強会を再開させた。
母さんからは俺の下心を見透かされたように勉強会を許可するかわりに架純ちゃんを大切にして変な事は絶対にしないことと釘を刺された。
でもすぐに、俺は母さんとの約束を破った。 実は1度だけそういう雰囲気になった事があったが、架純がそういう行為を極端に嫌がったので断念した。
その時に軽くファーストキスをしたが、真っ赤になって黙ってしまった。
すごく悪いことをしている気がしたので、それ以降はやましい事は封印し続けていた。
よく考えたら当然だ、架純は16歳で自分を産んで捨てた母親を毛嫌いしていた。
そういう行為に嫌悪感を抱いて当然だった。
あの日の俺は親父を亡くした事で、架純も突然いなくなってしまうんじゃないか、架純を離したくないという衝動に駆られていた。
勉強の間、肩が触れ合った時に、俺は衝動を抑えきれず、架純を抱きしめた。
細かった、はじめて会った時は俺もチビだったが、この頃にはだいぶ身長差が出てきていて、女の子の体はこんなに細いのかと思った。
そして、絶対に離したくないと思った。
そのまま俺たちは2度目のキスをした。
架純も俺の気持ちを察していたのか、俺に身を委ねてきた。
「いいの?」
と聞くと架純は小さくうなずいた。
架純の体は小さくて、細くてすぐに折れてしまいそうですごく切ない気持ちになって、俺はなぜか泣いた。
架純も泣いていた、それでも嬉しいと言ってくれた。
そうして、初めての体験をした俺たちは高校受験に向かって今までどおり頑張るつもりでいた。
でも、そうは行かなかった。 2学期が始まってしばらくした頃、いつもの様に朝登校して教室に入ろうとすると、隣のクラスから突然泣きながら架純が飛び出してきた。
俺は架純をすぐに追ったが見失ってしまった。
俺が隣の教室に駆け込むと黒板には
⦅松本と有村はS〇Xしたらしい⦆
と大きく書かれていた。
俺はすぐにその文字を消すと教室を駆けだし架純を探した。
学校中を探したが、みつからない。
俺は学校を出ると心当たりのある場所に向かった。
いつも架純と話をしていた川原だった。
そこには体育座りをしながら泣いている架純がいた。
俺が架純の隣に座ると、架純は大きな声を上げて泣いた。
俺は架純が泣き止むまで肩を抱き続けた。 落ち着いて学校に戻ると、犯人探しやら付き合っているのかとか尋問されたりいろいろな事があった。
その日以来、学校で会話しにくくなった俺たちは手紙でコミニュケーションをとる事になった。
中学生が携帯なんて持ってない時代だったので、目立たないようにと手紙のメッセンジャー役を架純の陸上部の友達が買ってくれた。
この子は俺も知っていて小学校の時からの仲なので安心して任せられた。
俺たちはしばらくその友達経由で手紙のやり取りをした。
勉強会も自粛した。
しかし、しばらくして架純から返事が来なくなった。
俺は何度も手紙を出したが返事が来ない。
学校で声をかけようかとも思ったが、架純のあの怯え方を見ているとそれもできなかった。
手紙の中継役の友達に架純の様子を聞いたが
「わからない。架純もあんな事があってショックを受けてたから」
と言われた。
しばらくして、この手紙のやり取りも自然消滅したころ、架純に川原に呼び出された。 架純は川原に座ると今までの思い出を語り出した。
初めてあった時のこと
中1のころの夫婦漫才
バレンタインデーの最悪な思い出
林間学校のこと
告白した日のこと
川原でのデート
親父のこと
勉強会
初体験のこと
何となく俺も察していた。
聞きたくなかった。
架純は
俺に迷惑をかけたくない。
好きだから迷惑かけられない。
と言った。
俺は言葉が出てこない。
「別れてください」
架純が小さく言った。
俺は何も言えなかった。
架純に辛い思いをさせたこと
あの日の母さんとの約束を守っていたらこんな事にはならなかった。
そう思うと架純をつなぎ止めることができなかった。
「楽しかった。ありがとう」
そう言うと目に涙を貯めた架純は川原を後にした。 こうして俺たちは別れた。
その後はあっという間だった。
俺は志望校の〇〇高校に合格したが、架純は受験しなかった。
そして、結局はあんなに嫌がっていた△△高校に進学した。
卒業アルバムにはサッカー部やクラスの友達からのメッセージがたくさんかかれているが、1番欲しかった架純からの言葉はない。
卒業後は方面が違うため顔を合わせることもなかった。
卒業してしばらくたった時、買ったばかりの携帯に知らない番号から着信があった。
架純との手紙の中継をしてくれていた陸上部の女の子だった。
いきなり泣いていて何を言ってるかわからなかったが、落ち着かせて話を聞いた。
すると
あの日、黒板に書いたのは自分であること
手紙は架純に渡さず捨てていたこと
俺の事が小学校の時から好きで架純に取られて悔しかったこと
架純には
「潤と私は付き合ってるからもう別れて」
と言ったこと
架純は俺のためならと別れることを了承したこと
後になって後悔して謝ろうと思ったが言い出せずに卒業してしまったこと
を打ち明けた。 それを聞いて俺は呆然としたが責める気にはなれなかった。
元はと言えば俺が約束を破ったせい、大事な時に何も言えなかった俺のせいだから。
俺は高校卒業後、東京の大学に進学した。
いつしか、絶対になりたくないと思っていた親父と同じ仕事を目指すようになった。
大学では彼女もできた。
成人式の日、架純が来るんじゃないかとドキドキしていたが、架純は来なかった。
その時に聞いたが架純は高校を中退したらしい。
いろいろ聞いて回ったがその後のことは誰も知らなかった。 俺は大学を卒業した後は親父と同じ仕事に就いた。
彼女とは就職してしばらくして結婚した。
母さんを早く安心させてやりたいという気持ちが強かったからだ。
すぐに子供も産まれて幸せだ。
ちなみにはるかは現在、地元で保育士をしている。
野球部の彼氏とは10年間付き合ってそのまま結婚したらしい。
俺は幸せになったが、今でも架純のことが引っかかっている。
誤解がないように言うと俺は今の奥さんを愛してる。
でも、あの時の架純の顔が何年経っても忘れられずにいた。 そんな時、職場の旅行で何故か俺の地元に行くことになった。
確かに俺の地元は観光地だが、何が悲しくて地元に観光しなくちゃいけないんだと抗議したが、賛成派に押し切られて結局地元旅行に決定してしまった。
見慣れた景色を観光した後は温泉宿に泊った。
そこで上司が出張コンパニオン?みたいなのを呼んだ。
宴会場に着物を着たお姉さん達が4人くらい来てお酌してくれたが、その中にいたんだ。
日焼けして健康的だった肌は病的なくらい青白くなっていた。
ツヤのあった黒髪は茶髪になっていたが、すぐにわかった。
架純だった。 あまりの突然の再会に動揺した。
俺と架純は目が合ったが、架純は構わず上司にお酌をしていた。
順番にコンパニオンが回っていき、架純が俺の隣に座った。
10年分の思いが頭の中を巡って言葉が出なかった。
「結婚…されてるんですね」
架純は俺の左手の薬指の指輪を指さしながら言った。
俺はなぜかとっさに手を隠してしまった。
「俺……」
俺が話そうとするのを遮って架純は続けた。
「私はこの町でおばあちゃんに育てられました。小さい頃からお母さんに捨てられた事がコンプレックスで周りの目を気にして生きてきました。」
架純は俺のグラスにビールを注ぎながら語る。
高校に進学した後、周りは不良ばかりで馴染めなかったこと
でも仲間に入れないと自分はいらないと言われているようで無理して合わせていたこと
悪い友達の誘いで知り合ったの男に言い寄られて身をゆだねてしまったこと
子供ができたことが分かると男が逃げてしまい、結局、高校を退学して子供を産んだこと
子供を育てるために夜の世界で働き続けていること
「結局、私はお母さんと同じになってしまいました。私が普通になんてなれるわけなかったんです」
架純は悲しそうに言った。
その表情はあの時の川原の架純と変わらなかった。 「中学生のころは夢の中にいたんです。とても楽しい夢でした。」
架純は俺の顔を見つめながら言った。
「お仕事〇〇なんですってね。あちらのお客さんから聞きました。」
上司の方を見て架純が言った。
「すごいなぁ、お父さんと同じ道に進んだんだね……」
俺は何も言えなかった。
いつもそう、大事な時には言葉が出てこない。
中学の頃と何も変わっていない。
「やっぱり、私達は住む世界が違ったんです。」
そう言うと架純は立ち上がった。
「待って……」
そう言って架純の腕をつかもうとした時、隣の席の同僚が口を挟んだ。
「あれ?もしかして知り合い?」
すると架純は
「いいえ。違いますよ。」
と言うと先輩の席に移動してしまった。
俺は架純の人生をめちゃくちゃにしてしまったんだ。
あの時、母さんの約束を守っていれば
別れを告げられた時に、何がなんでも架純を離さなければ
違った結末があったのかもしれない。
架純をなんとか救ってあげたいと考えた。
でも、俺には家族があって今更何ができるんだ。
そう、結局何もできなかった。
中学の時と何も変わらず、言葉が出なくて、何も出来なくて。 この後の架純のことは知らない。
たぶん架純はあの時間から取り残された街で今も生きているんだと思う。
俺は架純に外の世界への希望を見せたくせに、あの閉鎖的な空間に架純を取り残したまま、自分だけ逃げ出してしまったんだ。
俺は今は幸せだし、家族も愛している。
でも、俺の架純への後悔だけは一生消えないと思う。
俺が人生を壊してしまった女の子こと この前、中学生になった俺の息子が生意気にも彼女を連れてきました。
すごく元気で活発なあの頃の架純を思い出させるような子
テスト前には一緒に勉強をしているようです。
そんな息子を見ているとあの頃の俺たちをどうしても思い出してしまいます。
息子にはあの元気なお嬢さんを大事にして絶対に幸せにして欲しいと思います。 家族にはこんな事絶対に言えないので吐き出したくて書かせてもらいました。
ここまで見てくれて方ありがとうございました。
思い出補正や脚色はかなり入れてますので話半分に聞いてもらえればと思いますが大筋はこんな感じです。
今まで溜め込んでいたものを吐き出せて楽になりました。
みなさんありがとうございました >>1の文章が上手くて一気に読んでしまった
架純は偉いな、現実を受け入れて強く生きている
きっと幸せになれるよ たまたまvip+開いたら面白いものが読めたよ
ありがとう!
俺も同年代のおっさんだけど、人それぞれそういう話はあるよな
別れた嫁さんとのことを少し思い出したわ 中学時代の明るくてそれでいて繊細だった頃の架純が再開した時に何かを悟ったような人に変わっているのが印象的だった。きっとあれからたくさんのつらい思いをしてそれでも懸命に生きてきたんだろうな。今もこれからも架純が幸せに暮らしていることを祈るよ。 >>1です。つたない文章読んでいただき、みなさんありがとうございました。
親父は最後まで俺には気を遣わせず笑って過ごしたいと内緒にすることにしたそうです。
今となれば親の気持ちは理解できますがやっぱり言って欲しかったです。
今まで、俺のせいで架純は不幸になってしまったとか、今でも架純は俺の事恨んでいるんじゃないかとか考えてました。
みなさんのレスを見てそれは自分の思い上がりだったのかもしれないと思いました。
架純はとっくの昔に自分の考えで自分の道を歩いているんだと気づきました。
架純の事は大切な思い出ですが、俺も架純のように自分の人生を頑張って生きて行きたいと思います。
みなさんありがとうございました。 そこそこの良作品ではあると思った
しかし、その年代で学年順位が発表されるというのはリアリティに欠ける 素人童貞の俺には単純に羨ましい
JCの裸を見ただけで射精する自信ある 長いからスクロールして「ありがとうございました」だけ見た ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています