2人の幼い子どもと暮らすリマ・カルキさん(31)。夫のピタムさん(当時39歳)がロシア軍に雇われて兵士となり、亡くなりました。

ネパール軍の兵士だったピタムさんは2018年に退役したあと、家族を十分に養える仕事を見つけることができず、(略)ピタムさんが「出稼ぎに行く」と言って向かった先がロシアでした。

ネパールの平均月収をはるかに上回る、日本円にして30万円余りの月給がもらえることを条件にロシア軍に雇われて兵士になったというのです。

さらに、1年間の兵役でロシア国籍を申請することができることや、戦闘が激しい地域に配属されれば、さらに高い給料がもらえるとも話していました。

銃撃訓練を受ける様子を映した動画も送られてきたというリマさん。

夫の身を案じて「お願いだから危険な地域には行かないで」と言いましたが、ピタムさんは「安全な場所にいるから心配するな。これで、家族への仕送りを増やすことができる」と言って聞かなかったといいます。

ピタムさんがロシア軍に入隊してわずか1か月後。リマさんのもとに、ネパール外務省からピタムさんが亡くなったとの知らせが届きました。

「2023年11月15日に死亡」

ロシア当局が作成したとみられる死亡証明書には、それ以上の詳しい情報は書かれていませんでした。

その後、リマさんは、同じくロシア軍に雇われ、ピタムさんが死亡した現場に居合わせたというネパール人と連絡をとることができ、ピタムさんは戦闘が激しいウクライナ東部の前線で手榴りゅう弾の爆発に巻き込まれたと聞かされました。

ピタムさんが送ってくれていた契約書。そこにはロシア語でピタムさんの名前が書かれ、契約期間は「1年」と記入されていました。

しかし、ロシア政府からはピタムさんが兵士として働いた報酬や補償金は何も支払われておらず、遺体も帰ってきていません。

一家の大黒柱であるピタムさんを失ったリマさん。これから10歳と3歳の2人の子どもをどうやって育てていけばいいのか。経済的に厳しい状況に追い込まれています。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/feature/2024/02/22/37820.html