アメリカ大寒波、40人死亡 航空便の遅延・欠航相次ぐ

大寒波の被害が全米に広がっている。冬の気温が比較的温暖な西部や南部でも気温が零下に下がる異常気象が相次ぎ、凍死や交通事故などで12日以降少なくとも40人が死亡したもようだ。中西部から東部には18日から週末にかけて再び積雪を伴う寒波が予想され、当局が警戒を呼びかけている。

米国国立気象局は14日深夜までに、全米の幅広い地域で北極気団の南下による異常な低温が予想されるとして寒波警報や注意報を発令した。15日には中西部を中心に、低体温症による「生命の危険」が懸念される酷寒を記録。カナダ国境沿いでは体感気温がマイナス50度を下回った。

フロリダ州で降雪が見られるなど、異常気象も発生している。米メディアCNNによると、これまで寒波に関連した死者が最も多く報告されたのは南部テネシー州(14人)とオレゴン州(8人)となっている。

悪天候や空港の路面凍結により、連日、数千件規模のフライト欠航や遅延が相次ぐ。フライト追跡サイトのフライトアウェアによると、18日午後の時点で米国内発着便のうち約3000便の遅延、650便のキャンセルが報告されている。

零下の気候が比較的珍しい地域では、当局の対応の遅れなども事故につながっているようだ。テネシー州では15日、高速道路の凍結でトラックがスリップする死亡事故が発生。オレゴン州では複数の凍死者が出た。主要都市ポートランド周辺では16日、強風による倒木や凍結により高速道路が約80キロメートルにわたって通行止めとなり、約9万戸の停電も報告された。

米地方局ABC7は17日、シカゴ周辺で極端な低温のため充電が正常に行えず、電気自動車テスラが立ち往生する問題が相次いでいる様子を伝えた。低温下では充電に時間がかかる上、車内の暖房に電力がかかる。充電途中でバッテリーが切れて暖房が使えなくなったテスラの車両が相次ぎレッカー車でけん引されているという。

週の半ばまでに一度緩んだ寒さは、週末にかけて再び厳しさを増す見通しだ。米国国立気象局は、19日から週末にかけて中西部から東部各州に積雪を伴う寒波が広がるとして、注意を呼びかけた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN18EIK0Y4A110C2000000/