アメリカ西海岸有数の観光地として日本人にも人気のサンフランシスコ(SF)。ゴールデンゲートブリッジやフィッシャーマンズワーフ、
アルカトラズ島などたくさんの観光名所があり、カニやクラムチャウダーなどのシーフードも有名です。

最先端のハイテク企業が集まることでも知られるSFには、X(旧ツイッター)の本社があるほか、
南部にはグーグル、インテル、アップル、メタ(旧フェースブック)など世界的なIT企業が密集するシリコンバレーが広がっています。
コロナ禍前はそんなハイテク企業の経営者や成功した富裕層たちが暮らす街として賑わい、
華やかなイメージを持たれている方も多かったと思います。

しかし、この数年で街は激変。中心部は空き店舗と路上生活者が目立つ廃墟と化しています。
SFの衰退はこのコラムでも今春にレポートしましたが、夏には大手百貨店ノードストロームが撤退したことも大きなニュースになりました。
ノードストロームに限らず、売り上げの低迷と治安の悪化を理由にSFから撤退する小売店が増えています。

コロナ禍で消えたIT企業のオフィスワーカーが戻ってこないことが主な要因とされていますが、
今のSFは万引きや略奪などの犯罪と薬物にまみれ、「再生不能」とまで言われています。

閉店した高級レストランの前にはテントが張られ、多くの路上生活者たちが廃人のように暮らす街に変貌した
今のSFは、かつての美しい街を知る人たちにとっては驚くような光景が広がっています。

そんなSFで11日から17日の日程で、アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれています。
15日からはバイデン米大統領も出席する首脳会談も開かれる予定で、21の国と地域から指導者や
政府関係者、報道陣ら数千人がSFに集結します。当然ながら、大手ハイテク企業の本拠地と、
ホームレスが路上を占拠する街並みのアンバランスさが世界の注目を集めることになります。

しかし、ロサンゼルス・タイムズ紙や地元テレビ局の報道によると、会場となる中心部にあるモスコーン・センター周辺では
11日の開幕を前にセキュリティの強化に加え、街の美化と清掃活動が急ピッチで行われていたといいます。

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https://www.nikkansports.com/leisure/column/la/news/202311120000517.html