北海道でゴキブリが「木にびっしり」…なぜ札幌の高級住宅街の隣が“聖域”となったのか
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ゴキブリは冬の寒さが厳しい北海道にはいない――と言われるが、札幌市内の高級住宅地の近くに、ゴキブリの「聖域」がある。ゴキブリになじみの薄い北海道民は、ほかの虫のように平気で触ったりもして、積極的に駆除しようという様子はない。その一方で「聖域」のゴキブリたちは、命をおびやかす“敵”にさらされ続けているという。

ゴキブリの「聖域」は、札幌市の中心部から西へ3.5キロほど、市民の憩いの場である円山公園にある。

北海道のゴキブリを研究している北海道大の西野浩史・准教授は、文字で見るだけでも鳥肌が立つような説明をする。

「暖かくなる5月から一気にゴキブリが増えて、6月になると、もうすごいです。夜になると、こんなにいるのか、と思うくらいめちゃくちゃゴキブリが飛んでいる。木にびっしりと張り付いているときもある。木につかまる場所がないので地面を歩き回っているやつもいる」

交通の便がよく、自然豊かな円山地区は、札幌いちの文教地区として知られ、高級住宅街として名高い。
そんな家々に、夏場になるとゴキブリが入ってくることがあるそうで、住民が「何の虫なのか」と専門家に調べてもらったところ、「ヤマトゴキブリ」だとわかったという。

西野さんはフェロモンによるコミュニケーションについて、ゴキブリを使って研究しているが、ゴキブリに対して抵抗感がない人が周囲にかなり多いことに気がついた。

「本州の人は一発でゴキブリだとわかるので、こちらで出合うと『ここにもいるのか!』とめちゃめちゃびっくりするみたいです。でも、北海道の人は割と温かいまなざしでゴキブリを見ている」
と、山口県出身の西野さんは語る。

「ゴキブリを見つけたら絶対に殺さないと夜も寝られない、みたいなイメージがあるじゃないですか。ところが、北海道の人は好奇心を持って、ゴキブリを手にとって見る人が結構いて、びっくりしました。何も危害を加えないんだったら、別に捕まえてもいいんじゃない、くらいの印象を持っているようです」