(社説)辺野古代執行 強行手段に踏み切るな

「苦渋の決断」を国が強いたに等しい。頭ごなしの手続きは亀裂を深めるだけで、強引な手法に強く反対する。

沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、玉城デニー知事は軟弱地盤の改良工事の設計変更申請について「承認は困難」と国に回答した。国土交通相はきのう、国が県に代わって承認する「代執行」のための訴訟を起こした。

 9月4日の最高裁判決で県の訴えが退けられて以降、国側は矢継ぎ早に県に承認を迫り、追い詰めている。

自治体の長が最高裁判決にただちに従わないことには批判もあろう。一方、昨年の知事選で玉城知事は移設反対を公約に掲げて再選された。
19年の県民投票では、7割超が埋め立て反対の票を投じている。自らにかけられた期待と行政トップとしての義務の間で下した、ぎりぎりの判断を重く受けとめたい。

今後は工事を遅らせたとして国からの損害賠償請求もありえる。覚悟の上ならどういう事情と目算があるか、知事は国に対してはもちろん、議会や会見などあらゆる機会を通じ発信せねばならない

https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S15760268.html