この他にも、ヨーロッパでは小便器も議論の対象となっており、調査を進める中で、

“小便器は差別の象徴”

“過去の遺物だ”

“現代のスタンダードに見合わない”

といったコメントにたびたび行き当たりました。

「手軽に用を足せる小便器に女性用がないのは不平等だ」「小便器コーナーでは男性のプライベートが確保されていない」などの意見が聞かれるほか、
ドイツのベルリンやオーストリアのウィーンにある一部のトイレでは、通常50セントの使用料が請求されるのに対し、男性の小便器は無料で利用できることにも、女性側から抗議の声が上がっているとのこと。

気になった筆者も、スイス・バーゼル市の鉄道ターミナル施設内にあるトイレをリサーチしてみました。2022年10月時点の使用料は下記の通り、男性が利用する小便器の使用料が安く設定されていました。

・個室トイレ……2スイスフラン
・小便器……1.5スイスフラン
・おむつ交換代……2スイスフラン

ところが、2023年6月時点では下記のとおり、男女子ども間での価格差が廃止されて一律料金になっていました。

・個室トイレ……1.5スイスフラン
・小便器……1.5スイスフラン
・おむつ交換代……1.5スイスフラン

現地では、2022年末にこの価格差に憤慨するツイートが拡散され、利用者の怒りの声を真摯(しんし)に受け止めたSBB(スイス連邦鉄道)のCEOがすぐさま是正に動いたと報道されています。

オールジェンダートイレはまだ始まって間もない取り組みですので、これからクリアしていく課題は多そうです。
特に日本人は恥じらいの強い民族ですので、オールジェンダートイレが受け入れられるかは未知数ですが、そのうち誰にとってもハッピーな解決法が見つかることを望んでいます。

この記事の執筆者:ライジンガー真樹
元CAのスイス在住ライター。日本人にとっては不可思議に映る外国人の言動や、海外から見ると実は面白い国ニッポンにフォーカスしたカルチャーショック解説を中心に執筆。All About「オーストリア」ガイド。

https://news.yahoo.co.jp/articles/56ea05b4026b6f935a26146cd35f4d4f74e7e0c1?page=2