ノラネコ、絶滅危惧種を10分で食べ終える 防波堤に並ぶベニアジサシ狩る うるま市の漁港 「屋外ネコ減を」専門家が警鐘

うるま市の漁港で22日、飛来した絶滅危惧2類のベニアジサシをノラネコが捕食する様子を漁師の男性が発見して撮影した。ノラネコはベニアジサシを捕まえると10分もかからずに食べ終え、次の獲物を狙ったという。専門家は「屋外で生息するネコを減らす必要がある」と警鐘を鳴らしている。

ベニアジサシは6月上旬~23日ごろまで毎朝、同漁港の防波堤に大群で飛来した。男性はその様子を撮影しようとカメラを持っていたところ、ベニアジサシをくわえて歩くネコを目撃した。

ネコは近くの草むらで1羽目を食べた後、ベニアジサシの群れが並ぶ防波堤に戻り、2羽目を捕食。再びベニアジサシの列をじっと見上げて3羽目を捕まえたが男性が近寄ったため、放して逃げたという。

 男性によると、同漁港周辺では昨年から複数人によるネコへの餌やりが目立つようになり急増。漁師らが止めるよう注意したが餌やりは続き、現在、15匹以上のノラネコや不妊去勢手術をした「さくら猫」が生息するとみられる。

県は家畜への伝染病感染、不妊去勢手術が済んでいない個体の妊娠リスクの防止のため、ネコの完全室内飼育を呼びかけている。またヤンバルクイナなど希少野生動物を捕食しているとして、世界自然遺産のやんばる3村で屋外にいるネコをゼロにする計画の作成も進めている。

 どうぶつたちの病院沖縄の長嶺隆理事長は「人間に餌をもらいキャットフードを食べ慣れたネコでも、高い狩猟能力は衰えない」と指摘する。ヘビやカエルの捕食による寄生虫の感染や交通事故に遭うリスクもあり、「ネコを危険から守るためにも、屋外ネコを減らすべきだ」と強調。屋外ネコを増やさないため、「県だけでなく各市町村など地域でのルール作りも求められる」と述べた。

 ベニアジサシは、カモメ科の鳥で全長約40センチ。県内各地に5月ごろから飛来し、8~9月ごろまで海岸沿いの岩礁や無人島などで産卵や子育てをする。環境省レッドリストで絶滅危惧2類に指定されている。(政経部・東江郁香)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1177328
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