ロシアで6月24日に発生した民間軍事会社ワグネルによる武装蜂起は、中国指導部を不安に陥れたのではないか――
中国政治の専門家からはこのような見方が出ている。ある政治学者によると、中国はプーチン体制が見かけほど
安定していない可能性があると懸念し、ロシアとの取引に慎重になっているという。

ロシアの民間軍事会社ワグネルによる6月24日の武装蜂起は、中国指導部を驚かせたかもしれない。
今回の武装蜂起は、2022年2月のウクライナ侵攻以来、プーチン大統領のリーダーシップに対する最大の試練だった。
そして、中国専門のアナリストらにはある疑問が残った。「中国はロシアに接近しすぎたのではないか?」

ワグネルの反乱が中国にもたらしたリスクとは。

中国はロシアにとって最大の貿易相手国であり、最も近い同盟国でもある。
両国関係の中心にあるのは米国が支配する世界への対立意識と、自国の安全保障を脅かすNATOの拡大だ。
だが「プリゴジンの乱」は北京の指導部を動揺させた。
イェール大学法科大学院ポール・ツァイ中国センターのモーリッツ・ルドルフ氏はこう語る。
「これは中国にとって大きな懸念だ。ロシアと、安定していて予測可能な関係を維持することが、
中国にとって大きな関心事だからだ。そこには政治的、経済的な利益がある。たとえば、
地域フォーラムや多国間レベルでロシアとの協力を望んでいる」

中国の国営メディアは、反乱に対するプーチン氏の迅速な措置を称賛した。中国では批判的な言論が厳しく統制されているが、
ロシアに「賭ける」中国政府の姿勢を疑問視する意見も出始めている。
イェール大学法科大学院のモーリッツ・ルドルフ氏
「中国にとって、安定したロシアは本当に重要だ。そして中国は今、プーチン体制が見かけほど安定していないかもしれないとみている」

オーストラリア国立大学の政治学者、ウェンティ・スン氏はこう語る。
「習国家主席は、ロシアにおいて他の選択肢よりもまだプーチン氏のほうがましだと考えている可能性が高いと思う。
ただ中国政府は今、慎重になっている。『プーチンのロシア』との取引に業務的な態度を取っている」
中国はワグネルの反乱を重要視せず、ロシア政府への支持を表明している。ウクライナ侵攻直前には、
ロシアと「無制限」の協力関係を結んでいた。
中国外務省は、ロイターからのコメント要請に応じていない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d2ea2139782504336f5ee1b746fd59cd372e5eac