ロシアによる侵略で国内の鉄道網を破壊されたウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相が、「新幹線」整備による復興の意向を
示していたことが27日、分かった。日本政府関係者が産経新聞に明らかにした。新幹線の海外輸出には、地元ニーズの調整など困難が多い。
だが、ウクライナは、日本の最先端高速鉄道システム導入を契機に、戦後復興とロシアの影響力排除を加速させたい考えとみられる。
協力の模索は、日本主導の復興支援にもつながる。

クブラコフ氏は、三重県志摩市で6月16~18日の先進7カ国(G7)交通相会合に参加。斉藤鉄夫国土交通相も18日に同氏と会談し、
南部ヘルソン州のダム決壊の復旧に向けた技術的支援などを表明した。

世界の鉄道のレール間の幅(軌間)は大きく分けると、「標準軌」(1435ミリ)と、それより広い「広軌」、狭い「狭軌」がある。
主にロシアやウクライナなど旧ソ連の国々は1520ミリの広軌、欧州の多くの国々や日本の新幹線は標準軌、
日本の多くの在来線は1067ミリの狭軌が採用されている。

このため、鉄道で欧州からウクライナに行く場合、国境の駅で標準軌の台車から広軌の台車に交換する必要があり、
その作業だけでも相当の時間を要する。軌間を合わせることは互いの物資輸送を円滑にし、輸送力の向上につながる。

逆にロシアと軌間が同じだったため、人や物資が次々と運び込まれて侵攻を容易にしたとの反省もあり、
クブラコフ氏はG7会合で「(軌間が同じ)線路がつながっているから攻め込まれる」と訴えたという。

ウクライナは、破壊されていない区間も含めて全土の鉄道を欧州規格で整備し直す考えを示しており、G7各国も会合で支援を表明した。
関係者によると、行われた協議の中でクブラコフ氏から「日本の新幹線の技術を学んで鉄道の高速化を図りたい」との趣旨の発言があったという。

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https://www.sankei.com/article/20230627-VRWRVVCK3BM6NOJW57ZFHW6GSE/