24日の東京株式市場では、前日に原因不明のまま大幅下落したトヨタ自動車株が買い戻され前日の下落分を上回る上昇となった。同株は23日の取引終了間際にまとまった売り注文が入り、前日比93円安の1857円で取引を終え、時価総額のうち約1・5兆円が一瞬にして吹っ飛んだ格好だった。
ただ、令和5年3月期連結決算で売上高が過去最高を更新するなど、同株を積極的に売る材料は見当たらず、兜町やネット界隈では「誤発注か」「利益確定売りでは」「ヘッジファンドが仕掛けた」などと、さまざまな憶測を呼んだ。
24日は午前の取引開始直後から買い戻しが入り、午後に入っても買いが優勢で終値は前日比99・5円高の1956・5円となり、前日の下げ幅を完全にカバーした。
市場関係者によると、「昨日の売りで注目が高まる中、リバウンド狙いの買いが入った」と指摘する。また、昨日のまとまった売りについては、「誤発注であれば、当事者から何らかの発表があるはず」として、ミスによるものではないとの見方を示した。
一方、人工知能(AI)が進化し、コンピューターが市場トレンドに連動して瞬時に注文を入れる「アルゴリズム取引」が一般的になるなか、「まとまった売りや買いが入れば、ほぼ自動的に追随することが考えられ、大幅な株価の変動はどの銘柄でも十分に考えられる」と指摘。今後も同様の事例は起こり得るとしている。(福島徳)
https://www.sankei.com/article/20230524-LIUQB35JBFAR7BOTUOYH4ISVMU/