<社説>PAC3展開 優先すべきは外交努力だ

国際協調による外交努力が先決ではないのか。
浜田靖一防衛相は22日、北朝鮮が打ち上げを計画する「軍事偵察衛星1号機」が日本領域へ落下する事態に備え、自衛隊に「破壊措置準備命令」を発出した。自衛隊は石垣市や宮古島市、与那国町への地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備に着手した。23日には関連部隊が移動を始めた。
政府は衛星打ち上げについて事実上の長距離弾道ミサイル発射とみている。過去の経緯や収集した情報を踏まえ、北朝鮮が沖縄方向に発射する可能性があるとして、迎撃態勢を整える構えだ。
<中略>
今回のPAC3配備では、日本領域への落下が予想される場合の迎撃を想定しているとされるが、北朝鮮の「脅威」を理由に常時配備となる恐れもある。なし崩しの配備は許されない。丁寧に説明した上で、住民の意見を聞くべきだ。その意思が最大限尊重されなければならない。
22年末に閣議決定で改定された安保関連3文書では、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有が明記されたほか、沖縄を含む南西諸島への自衛隊配備強化が明確に打ち出された。

軍事施設が集中する地域は、紛争になった際の攻撃目標になる可能性が高い。在日米軍基地が集中する中、先島を含めた沖縄県内の自衛隊増強は、住民が戦闘に巻き込まれる危険性を高めることにならないか。
まず政府が優先すべきは、国民が攻撃目標にならぬよう外交努力を尽くすことだ。軍事的対立の最前線に、沖縄が立たされることはあってはならない。

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1699214.html