経済産業省は29日、2023年度の電力供給の余力を示す予備率をまとめた。東京電力ホールディングス(HD)管内の予備率は7月に3%と、最低限必要とされる水準をかろうじて確保する形となった。電力不足の懸念は23年度も続く見込みだ。

経産省によると、暑さ・寒さが厳しい場合の東電管内の予備率は23年7月に3%、8月に3.9%になる。冬場は24年1月に東電と東北電力、北海道電力で4.6%、24年2月に東電で4.9%になる。

いずれも安定供給の最低ラインである3%と同じか上回るものの、「電力需給逼迫注意報」の対象となる5%以下だ。経産省は「(夏季の東京エリアは)最低限の電力は確保できているが、ぎりぎりの状況になっている」とした。

発電所の設備トラブルなどを未然に防ぐことを電力会社に要請するとともに、夏季に向けては東電管内で追加で稼働できる発電設備の公募を検討する。

予備率はピーク時の電力需要に対して供給力の余裕がどの程度あるかを示す指標だ。供給力から需要を引いた値を需要で割って算出する。需要には3%程度のぶれがあることから、安定供給には予備率3%が最低限必要とされる。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA291HN0Z20C23A3000000/