地下鉄サリン事件から28年迎え当時の駅長ら4年ぶり墓参り「事件知らない人増えた」被害者の会
[2023年3月20日18時23分]

14人が死亡、6000人以上が重軽症を負った1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件から28年となった20日、多くの被害者が出た東京メトロ霞ケ関駅(東京都千代田区)で、助役だった夫一正さん(当時50)を亡くした高橋シズヱさん(76)が献花した。当時の駅長らも4年ぶりに、新型コロナウイルス禍で自粛していた一正さんの墓参りをした。

高橋さんが代表世話人を務める被害者の会は、事件の資料を保存、公開する施設の設立を求めている。献花後の取材で、高橋さんは「事件を知らない人が増え、忘れ去られているのではないか」と懸念。カルト宗教への関心が高まっているとして「繰り返される問題だと思う。きちんと(資料を)管理し続けてほしい」とした。

霞ケ関駅では駅員が「事件を風化させない」と述べ、発生時刻に近い午前8時に黙とう。古沢茂明駅務管区長(55)や斉藤鉄夫国土交通相が献花した。斉藤国交相は「テロ対策の取り組みを強化し、安心して鉄道を利用できる環境を整える」とのコメントを出した。

当時の駅長野尻辰秀さん(71)らは20日午後、一正さんの墓参りに。毎年訪れていたが、コロナ禍で2020年以降は中断。多くの花が供えられた墓に「4年ぶりに来たよ」と語りかけた。

地下鉄サリン事件は95年3月20日、松本智津夫元死刑囚=教祖名麻原彰晃=の指示を受けた教団幹部らが、都心を走る地下鉄5車両に猛毒のサリンをまいた。

オウム真理教による一連の事件では、松本元死刑囚を含む13人の死刑が確定し、2018年7月に執行された。公安調査庁によると、教団は3つの後継団体に分かれて活動を続けている。

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