首相、「インド太平洋」に9・8兆円 行動計画発表

3/20(月) 19:53配信
産経新聞

【ニューデリー=広池慶一】インドを訪問中の岸田文雄首相は20日(日本時間同)、政府系シンクタンクで演説し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の新たな行動計画を発表した。民間投資や円借款などを通じて2030年までに官民合わせて750億ドル(約9兆8000億円)以上をインド太平洋地域に投じると表明した。

首相は演説で「国際社会が歴史的な転換期にある」と指摘し、FOIPをさらに促進する重要性を強調。その上で、①平和の原則と繁栄のルール②インド太平洋流の課題対処③多層的な連結性④「海」から「空」へ広がる安全保障・安全利用の取り組み-の4つの柱を新たに打ち出した。

平和の原則について首相は「主権、領土一体性の尊重、力による一方的な現状変更に反対。これらの原則は世界の全ての場所で守られるべきだ」と主張。ロシアのウクライナ侵攻を「決して認めることはない」と強く非難しウクライナ支援を継続する考えを示した。

インド太平洋地域の課題対処は、気候変動や食料安全保障、サイバーセキュリティーなどの分野で支援拡充を表明。偽情報の拡散に関しては「国家の自律性を脅かす各国共通の課題」とし、偽情報対策の知見を地域に広げるためのワークショップを年内に開催すると述べた。

首相は、今年が日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の交流開始50周年に当たることを踏まえ、日ASEAN統合基金に1億ドル(約130億円)を拠出すると表明した。

海洋安保面では、人材育成や沿岸警備隊との共同訓練を通じ、各国の海上法執行能力強化を支援すると説明。空の状況把握の能力向上に向けては、衛星を活用した状況把握やドローンを含む新技術に関する協力体制の強化を訴えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/673550f4d25c3a1bae13e6a2b1a8fd4e57bd1a6b