銀行持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレー銀行が経営破綻した。
投資家とアナリストは銀行業界における危機の連鎖を懸念し、他の金融機関にも厳しい目を光らせている。

 ベンチャーキャピタル(VC)やVC出資のスタートアップへの融資を手掛けるSVB傘下のシリコンバレー銀行の危機を受け、
他の金融機関にも同様の問題が飛び火するとの懸念から、米株式市場では銀行株に連想売りが広がった。

 SVBが抱える問題の発端は、コロナ禍で流れ込んだ大量のマネーだ。
SVBはその資金を元手に米長期債を購入したが、金利上昇に伴い債券価格が下落した。

 今年に入って予想以上のスピードで顧客が預金を引き揚げ始めると、SVBは保有していた一部の有価証券を売却せざるを得なくなり、損失を計上。
これが9日の米株市場でSVB株の急落を招いた。
さらに、一部のVC投資家がスタートアップ企業に対してSVBから資金を引き揚げるよう助言しており、取り付け騒ぎへの懸念が高まった。

 シリコンバレー銀行が8日に緊急の増資計画を発表する前から、投資家はすでに神経をとがらせていた。
大手銀行の2022年10-12月期(第4四半期)決算は景気後退(リセッション)を見込んだ悲観的な内容だった。
そこに、暗号資産(仮想通貨)を扱うシルバーゲート銀行の親会社、米シルバーゲート・キャピタルが事業閉鎖を発表したことで、懸念が一気に高まった。

 米経済は堅調を維持しているが、多くの投資家はリセッションが迫っているとみている。
SVBを巡る危機は、08年の世界金融危機の記憶を呼び起こすものだ。
当時はまず地銀の経営難が露呈し、後に米金融大手と世界の金融システムへと危機が波及していった。


SVB傘下シリコンバレー銀破綻、市場に走る動揺
https://jp.wsj.com/articles/silicon-valley-bank-crisis-unsettles-bank-investors-c1576290