「瀬戸内のハワイ」に高額納税者が複数転入、町民税収が6・7倍32億円に…山口・周防大島町

 「瀬戸内のハワイ」と呼ばれる山口県周防大島町の2022年度一般会計の町民税収入が、当初予算の想定(4億8400万円)の約6・7倍になった。複数の高額納税者が転入し、計27億4100万円の納税があったことが理由。藤本浄孝町長は思わぬ町民税の激増に「町始まって以来のことではないか。ありがたい」と喜びながらも、「戸惑いも大きい」と話している。

 町財務課によると、増額後の町民税は32億2600万円。今年度一般会計当初予算は138億8000万円で、追加後は178億7700万円になる。町は3日、町議会定例会に、増加分の町民税など総額22億2900万円を追加する今年度一般会計補正予算案を提出した。
 町関係者によると、海外で事業を展開するなどしている経営者ら複数の人が、移住してきたことが増収の理由。以前から島に好印象を持っていたという。藤本町長は「豊かな自然と優しい人たちという町の明るいイメージが移住につながったのかも」と話している。
 一方、町長が戸惑いを見せているのは、町民税の増加を受け、政府が地方自治体に配分する地方交付税が減額される可能性があるからだ。このため、町は増額分の大部分を貯金に当たる財政調整基金に繰り入れる。藤本町長は「地に足を着け、使い道を協議する」と話す。
 周防大島町は、山口県南東部の瀬戸内海に浮かぶ屋代島などの島で構成されている。屋代島は、本土と大島大橋(全長約1キロ)でつながっている。比較的温暖な気候で、青く澄んだ海の海水浴場などがあり観光地として知られる。特産品はミカン。
 今年1月末の町の人口は1万4285人で、ピークだった1947年の5分の1程度まで減った。高齢化率は5割を超える。町は移住政策に力を入れており、2~4週間のお試し生活などを行っている。2021年度までの5年間で、町には2256件の移住相談が寄せられ、少なくとも65世帯123人が移住した。

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