指摘すべきは、尾崎がカネを手にする手口である。ここには、同和利権を生む「怯(ひる)む行政」の原型がある。
尾崎に付き合わされ、“恐喝”の現場に立ち会った弁護士の小林霊光は、「ワンパターンではあるが、人間の最も弱いところをつくのが尾崎の手口だった」と振り返る。
「『先生、ちょっと付き合ってくれよ』と頼まれて、何回か一緒に役所に行ったことがあるよ。あの野郎は、建設省(現国土交通省)や厚生省(現厚生労働省)など許認可関係の局長の所に、案内なしでズカズカと入っていっちゃうんだ。それで、局長に命じて、『オイ! どこそこの誰に電話しろ』という。相手が出ると、怒鳴りまくる。『このポンコツ野郎! いつ出来んだ。早く出せ! 』といった調子だよ。局長室からの電話じゃ逃げられないからな。それで市街化調整区域なんかを外させる。一挙に地価が5倍、10倍になるという寸法さ」
小林はこう証言する。白昼堂々の恐喝行為がどうして許されるのか。なによりキャリアの局長クラスが、なぜ尾崎の訪問を許すのか。
「許すも許さないも、奥さんを完全に落とすのさ。旦那が出掛けている日中の午前中なんかに、奥さんに電話する。『尾崎といいます。いつも旦那さんにはお世話になってます』と、丁寧に話し始める。すると、仕事関係だと思って相手も聞くわな。その後、『ところで、オタクのお嬢さんはかわいいですね。○○小学校に通って、今、何年生。ただ、通学路のあのあたりは車の往来がひどいから気をつけた方がいいですよ』とかね。そりゃ、相手はびびるよ。個人情報をすべて掴まれている、しかも子供。旦那が帰ると、『アナタ、なんとかしてよ! 』となる。そんな単純で、汚く、でも効果的な手口だった」〉
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