【パリ=三井美奈】東欧チェコで28日、大統領選の決選投票が開票され、元北大西洋条約機構(NATO)の元軍事委員長、
ペトル・パベル氏が当選を決めた。ゼマン現大統領が10年間続けた中国への接近外交を転換するとみられている。

決選投票は、パベル氏とバビシュ前首相の争いとなり、パベル氏は約58%を得票した。パベル氏はNATOや
欧州連合(EU)の結束を強調し、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの積極支援を主張。バビシュ氏は、紛争の拡大による
経済悪化を警告してきた。

チェコでは2021年、バビシュ氏の後継者としてフィアラ首相が就任。台湾の民主主義支援を打ち出して中国に
厳しい立場をとり、ゼマン大統領と外交方針が分裂していた。次期大統領となるパベル氏はフィアラ首相の与党連合の
支持を受けており、外交で足並みがそろう見通しとなった。NATO軍事委員長は、米欧の加盟30カ国で
構成する軍事機構のトップ。

ゼマン大統領は13年の就任以来、中国からの投資誘致を進め、習近平国家主席との関係作りにも熱心だった。
中国が15年、抗日戦勝70年記念の軍事パレードを行った際には、EU首脳として唯一列席。20年にチェコ上院議長が
台湾を訪問すると、「子供じみた挑発行為」と批判した。

チェコ大統領選の第1回投票は13、14日に実施。上位2人が27、28日の決戦投票に進んだ。
https://www.sankei.com/article/20230129-IYQUWIQMINNWRD4YHMPTFER6GY/